2021 Fiscal Year Research-status Report
Research on Livinghood Mix of Employment, Social Security, and Famil. In case of German Aufstoecker
Project/Area Number |
21K01833
|
Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
田中 洋子 筑波大学, 人文社会系, 教授 (90202176)
|
Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
|
Keywords | 上乗せ支給 / 求職者基礎保障 / パートタイム / ベーシックインカム / ドイツ / 社会政策 / ハルツ法 / 長期失業者 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、加速する技術革新・デジタル化の中、一方でワーク・ライフ・バランスや労働時間の短縮・柔軟化がうたわれ、他方でサービス産業化や非典型雇用の増大が進み、家族形態が変化する中で、短時間で働くことを選んだ人々が生計を普通に維持していくためにはどのような社会的仕組みがあればよいのかを解明するために、ドイツで2005年に制定されたハルツⅣ法による上乗せ支給制度をとりあげ、雇用収入・社会保障給付・家族による家計所得という三つの構成要素の複合的組み合わせをみる観点から、実際にどのような生計ミックスによって安定的な生計維持が実現するのか、逆に何が足りない時にそれが不可能になるかを明らかにすることを目的としている。 三つ要素の複合的生計ミックスがどのように実現されているかについて、研究方法として三つのアプローチを試みている。第一に上乗せ支給者を対象とするアンケート調査を実施して分析することである。現在調査企業を決定し、調査項目を決定し、その翻訳を行っている段階であり、まもなく実施される予定である。第二に個別のインタビュー調査をドイツにて行う予定であったが、これはコロナ・パンデミックにより延期されており、令和4年度に行いたいと考えている。第三に、新らたに加わった研究方法として、ドイツ国内で行われてきた複数のパネル調査にもとづいた定量的分析をドイツ経済社会研究所の二名の研究者と共同研究として行うこととなった。現在資料の請求・認可取得に時間がかかっているが、調査内容の細目についての打ち合わせはすでに終わった段階にある。これと並行して、ドイツおよび日本における上乗せ支給研究についての関係する研究・報告書・資料の分析を進めた。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
コロナパンデミックに伴い、ドイツにおけるインタビュー調査を行う予定であったが、ドイツへの出張ができなかった。インタビュー調査ができなかった分、文献資料の収集と分析を進めるとともに、アンケート調査についての準備を行い、まもなく実施予定となっている。他方でドイツ経済社会研究所の研究者二名とともに共同研究を組むことができ、特に外国人が入手することができないドイツの国内調査データの入手・利用の可能性が開け、ともに分析に取り組むことが合意される所まできた。
|
Strategy for Future Research Activity |
引き続き関連文献・報告書・資料の分析を進めながら、昨年度準備を進めてきたドイツでのアンケート調査を実施し、その分析を行っていく。状況が可能となれば、今年度は夏にドイツに滞在し、ジョブセンターや政府機関へのインタビュー調査を行うとともに、可能であれば上乗せ支給者に直接インタビューを行えるよう調整を行う。同時に並行して、ドイツ経済社会研究所の二名の研究者との共同研究を進め、主にパネルデータの数量的分析を共同で行っていく予定である。
|
Causes of Carryover |
コロナ・パンデミックの長期化により昨年度ドイツに行って調査することができなかったため、一連の渡航費を今年度に繰り越して利用する計画である。また昨年度に準備を進めたアンケート調査の実施が今年度に入ってからとなったため、この調査費用も今年度に使用する予定である。ドイツ経済社会研究所との共同研究についても現在進行形であり、謝金等の費用は今年度使用する計画となっている。
|