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2023 Fiscal Year Research-status Report

Research on Livinghood Mix of Employment, Social Security, and Famil. In case of German Aufstoecker

Research Project

Project/Area Number 21K01833
Research InstitutionUniversity of Tsukuba

Principal Investigator

田中 洋子  筑波大学, 人文社会系, 教授 (90202176)

Project Period (FY) 2021-04-01 – 2025-03-31
Keywords上乗せ支給 / ドイツ / ベーシック・インカム / 基礎保障 / ハルツ法 / 生活保障 / ジョブセンター / 職業教育
Outline of Annual Research Achievements

研究課題である上乗せ支給と生活基礎保障に関する文献や資料を集め、その構造的な仕組みと現在進行中の制度的変化についての研究を行った。それと平行して、ドイツのジョブセンターでのインタビュー調査を行った。これはジョブセンターのセンター長をはじめ、専門の相談担当者である社会福祉士など8名の職員に対して行ったものである。このインタビュー調査を通じて、上乗せ支給者の具体的な生計ミックスのあり方についてさまざまな事例についての聞き取りを行うことができた。これに加えて、就労支援を行っているキリスト教系民間非営利団体の長や、実際に上乗せ支給を経験してきた人々にもインタビューを行うことができた。その中で、上乗せ支給に至った事情を雇用や家族形成、生計の維持との関係で聞くことができたと同時に、上乗せ支給ないし生活基礎保障から脱していくに際して、職業教育・継続教育をはじめとするさまざまな方法が利用されていることを知ることができた。翌年もジョブセンターを訪問し、市民手当導入後にどのような変化が起きているかについての聞き取り調査を行った。
さらに、インターネット調査会社を通じて、ドイツにおいて上乗せ支給者の生計ミックスについてたずねるアンケート調査を行った。これにより、雇用・就業形態および業種・職種、労働時間、時給・月収・年収、また短く働いている理由など、雇用による収入部分と、また政府による上乗せ支給の金額、住宅・光熱費への支援やその他の給付・手当、家族・パートナー等との居住・家族・同居関係や収入状況などについての情報を得ることができた。これについては全体の集計が終わり、これから詳しい分析を行っていくことになる。
こうした調査の途中経過をまとめた成果として、社会政策学会で大会報告を行ったほか、現代ドイツ研究会で詳しい研究報告を行い、議論を重ねた。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

3: Progress in research has been slightly delayed.

Reason

2022年にはドイツ出張を通じてさまざまなインタビューを実行する予定だったが、その直前にコロナに罹患し、予定を組んでいたヴィッテン市のジョブセンターでのインタビュー調査を急遽オンラインに切り換えて実施するなど、現地調査の実行に支障が生じた。その時は現地に赴くことができなかったため、翌2023年に再度同じヴィッテン市のジョブセンターを実際に訪問し、センター長および社会福祉士の担当者に対して、今度は対面にてインタビュー調査を行った。ちょうどハルツ第Ⅳ法が市民手当制度に移行した直後ということもあり、市民手当導入による制裁の緩和政策やその実際の運用についての聞き取りも行った。また上乗せ支給者本人へのインタビューについても、コロナの影響により一部はオンラインでの実施に変わったり、一部はキャンセルとなったため、これについては再度ネットワークを構築し、以前のものに加えてインタビューをプラスしていく予定である。
上乗せ支給者についてのアンケート調査については、全体の詳しい分析が完全に終わっていないため、今後に分析と考察を行うことを予定している。またこうした分析結果については、従来行われてきたハルツⅣ受給者調査と対照しながら比較検討していく必要があるため、これについても今後の課題となっている。
これまでの研究成果のまとめと発表については、社会政策学会での大会報告に加えて、現代ドイツ研究会での報告を行い、ドイツ研究者から多くのコメントを得ることができた。今後はこうしたコメントを参考にしながら、まずは現代ドイツ研究会で書籍化する予定の共同研究に向けて、この研究の成果をまとめていきたいと考えている。

Strategy for Future Research Activity

これまでヴィッテン市のジョブセンターを二回訪問する中で、上乗せ支給者が置かれている状況がある程度わかってきたが、学会や研究会での議論の中で、ベルリン市など大都市では状況がかなり異なる可能性があり、そちらも調査すべきであるとの指摘を何回か受けた。そのため、今年度はベルリン市をはじめ他都市のジョブセンターにもアクセスし、受け入れてもらえる所でインタビューを実施していきたい。同時に、定点観測として、ヴィッテン市の三年後の状況変化についても確認したい。また、コロナ感染によって上乗せ支給者へのインタビューが予定より制限されてしまったことから、新しいネットワークをつくる努力を行い、さまざまな上乗せ支給の多様な実態を明らかにしていきたいと考えている。すでに行われたアンケートの分析については、進捗状況の所に書いたように、まだ全体の詳しい分析が完全に終わっていないため、今後のドイツ調査、インタビュー調査と合わせて、アンケートの分析と考察を進めていく予定である。これらをハルツⅣ受給者全体を対象とする調査などと対照しながら比較検討していく。
これらの暫定的な研究成果については、2024年6月の日本ドイツ学会において報告する予定となっている。また現代ドイツ研究会での共同研究が書籍化されるプロセスが進んでおり、その中で上乗せ支給者を分析した論文が発表される予定となっている。まずはこの共同研究のために研究成果をまとめていきたいと考えている。さらにアンケート結果の分析を踏まえて、学術雑誌に投稿していく予定である。

Causes of Carryover

ドイツでのインタビュー調査がまだ限定的であることが大きな理由である。特にベルリン市など他都市での調査の必要性が学会での議論の中から明らかになってきたため、これをあらためて企画・遂行し、その結果をこれまで行ってきたヴィッテン市の状況と比較検討して分析する必要がある。また上乗せ支給者へのインタビュー調査も、コロナの影響で予定していたよりも小規模にとどまっているため、対象者を増やして行う必要がある。アンケート調査の分析もまだ途上であり、これについても分析を進めるとともに、他の調査研究・統計・報告などとの関係で位置づけて論じる必要がある。こうした理由のため、今年度もこの予算を引き続き使用し、中途半端だったドイツ調査をしっかり行うとともに、研究成果として公に形にできるようにすることが必要となっている。

  • Research Products

    (2 results)

All 2024 2023

All Presentation (2 results)

  • [Presentation] ドイツの生活保障制度にみる<生活と教育>の支援2024

    • Author(s)
      田中洋子
    • Organizer
      日本ドイツ学会
  • [Presentation] ドイツにおけるベーシック・セキュリティ制度の実際の運用-セーフティーネットとしての生活+教育訓練支援とその限界2023

    • Author(s)
      田中洋子
    • Organizer
      社会政策学会

URL: 

Published: 2024-12-25  

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