難病患者の心理過程の解明ー患者視点からのアプローチー

2021 Fiscal Year Research-status Report

• Project/Area Number: 21K01840
• Research Institution: Yamaguchi Prefectural University
• Principal Investigator: 松元 悦子 山口県立大学, 看護栄養学部, 講師 (80634980)
• Project Period (FY): 2021-04-01 – 2024-03-31
• Keywords: 難病患者 / 心理過程 / 在宅療養生活

Outline of Annual Research Achievements

本研究では，難病患者が，質の高い在宅療養生活を長期にわたり継続できる為に，難病患者の心理過程を，療養経過に伴う認識，行動，社会的相互作用の変化を含めて明らかにすることを目的としている．
2021年度は，難病患者の心理に関する文献検討を実施したうえで、所属機関の生命倫理委員会の承認を受け，在宅療養生活を継続している難病患者にインタビュー調査を行う計画としていた。
今年度研究実績としては、難病患者の心理について、WEB版医学中央雑誌を用いて文献検討を実施した。その結果、難病患者の心理は、難病の定義「発病の機構が明らかでなく、治療方法が確立していない希少な疾病」という難病特性に起因する認知の混乱や不安が継続すること、現状では療養経過に添った心理過程は未解明な状況であることが示唆された。また、先行研究では、支援者側からの視点で捉えられてきた難病患者像として、こだわりの強さや関りの難しさ等が見いだされた。本研究において、当事者の視点から，難病患者の心理を明らかにすることは、地域社会の中で生活する難病患者が他者との関係性構築を図る上でも非常に重要な意味を持つと考える。
研究を実施するにあたり、インタビュー調査については、コロナ禍での難病患者への対面調査が実施困難な状況を鑑み、パソコン・タブレット・携帯電話等を用いたWEBや電話通話、メール等感染対策を取り入れた方法で準備をすすめた。また、調査対象者への倫理的配慮については特に検討を重ね、山口県立大学生命倫理委員会にて承認を得た。しかし、新型コロナウイルス感染症の流行により、面接調査が実施できない状況が継続している。そのため、調査を開始した際の準備段階として、難病患者の療養経過に伴う心理過程について枠組みの検討を進めている。

Current Status of Research Progress

3: Progress in research has been slightly delayed.

Reason

2021年度は、インタビュー調査を実施している予定であった。しかし、新型コロナウイルス感染症の流行のため、インタビュー調査実施に遅れが生じている。本研究対象者は難病患者であり、研究実施場所は対象者のご自宅や施設・病院であること、また、対象者募集依頼先である研究協力機関は、在宅介護支援事業所や訪問看護ステーション・病院・患者会等であることから、感染リスクを考慮し受け入れ側の状況への配慮を優先した。

Strategy for Future Research Activity

2021年度に承認を得た倫理審査で、在宅療養生活を継続している難病患者及び在宅療養生活が困難になり施設入所等に至った難病患者いずれものインタビュー調査が実施できる準備ができている。よって、2022年度は、新型コロナウイルス感染状況を考慮し受け入れ側への配慮を重ねつつ、主にパソコン・タブレット・携帯電話等を用いたWEBや電話通話、メール等でのインタビュー調査を進めていく。調査実施により得られたデータは、速やかに逐語録を作成し分析を進めていく。

Causes of Carryover

新型コロナ感染症の影響により、調査や研究会等の交通費、調査謝金やテープ起こし委託処理費が不要となったことから次年度使用額が生じた。次年度使用計画としては、インタビュー調査の際に、パソコン・タブレット・携帯電話等を用いたWEBや電話通話・メール等感染対策を取り入れた方法での調査を進めていくことから、通信機器の購入や無線LAN等の契約費用に充てる。また、感染状況に応じた可能な範囲でインタビュー調査を進め、そのための経費に充てる。