2022 Fiscal Year Research-status Report
A Study on the News Gathering Process of "Investigative Journalism" - Focusing on Examples of Utilization of the Information Disclosure System
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21K01848
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Research Institution | Doshisha University |
Principal Investigator |
小黒 純 同志社大学, 社会学部, 教授 (00388167)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 調査報道 / 情報公開制度 / 取材 |
Outline of Annual Research Achievements |
個別の事例については、ジャーナリストや放送局のドキュメンタリー制作者らへの詳細な聞き取り調査を行った。いずれも報道内容からでは未解明のポイントを掘り下げた。すなわち、さまざまな社会問題の中から、どのようにテーマを選択し、番組を企画し、関係者へのインタビューや、公文書などの関係文書を入手・収集しての分析を行ったのか。さらに、それらの取材結果をどのように番組の形にまとめていったのか。このような制作過程、とりわけ取材の部分については聞き取り調査を行わなければ明らかにすることはできない。時間のかかる研究手法だが、避けて通ることはできないため、丹念に進めて行った。 こうした聞き取り調査では、調査報道の番組作りに関わったディレクターらの語り自体が、ジャーナリズム研究や周辺領域の研究にとって貴重な記録となる。そのため、オーラル・ヒストリーとしての条件を備えた形に整理する作業を進めてきた。 調査報道の「公文書&検証取材型」というべき類型については、これをテーマとした、日本メディア学会の研究会(2022年12月)を企画した。実際に調査報道に当たったジャーナリストを報告者、筆者が事例研究の討論者として活発な議論が行われ、参加者から幅広い知見を得ることができた。この類型は、①公表資料(公開情報)の分析 →②情報公開請求による公文書の取得 →③関係者への聞き取り取材 →④新事実の発掘 という流れに沿って行われる手法であり、今後も各メディアによって応用が可能となる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
個別の事例については、聞き取り調査などで一定の進展が見られている。 その一方、本研究を進める過程において、根源的な部分について、考察を深めておく必要性を再認識した。すなわち、調査報道の社会的意義は、公権力に対する監視という機能によって説明されるのが一般的である。それでは、調査報道が公権力に対する監視を行っていることが、なぜ民主主義社会において必要不可欠とされるのか。研究を進めるうえで、あらためて、こうした根源的な問いに直面することとなった。(この方面の具体的な対処法は、後述する。)
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Strategy for Future Research Activity |
最終年度となる次年度は調査報道の全体的傾向についてのデータ化と分析を進める一方、本年度に引き続き、個別事例についての情報収集と分析を進める。個別事例は、新聞とテレビ、それにウェブメディアの3分野にまたがる。それぞれの調査報道において、次のような点を解明していく。すなわち、どのようなテーマ選択、それに続く取材が行われたのか。とりわけ、情報公開制度を活用して行政文書をいかに開示請求し、開示決定を受けて、どのような文書を入手したのか。そして、取材でどのように入手した文書を活用したのか。その結果、どのような報道に結びついたのか(逆に、報道できなかったのはどのような点か)。こうした、報道の内容からでは分からない部分を可視化する作業を進めていく。 最新の事例については、2023年4月に早稲田大学で開催予定の「報道実務家フォーラム」などにフル参加し、情報収集するとともに、人的ネットワークも構築していく。 研究成果の一部として、2023年6月開催予定の日本メディア学会におけるワークショップで、ウェブメディアによる調査報道の事例を取り扱うことが内定している。 さらに、今年度に進めてきた、聞き取り調査を基にしたオーラル・ヒストリー化のプロセスにも力を注ぐ予定である。研究報告の場としては、2023年7月にブラジルで開催される、国際オーラルヒストリー学会における発表が内定している。また、11月に開催予定の日本オーラル・ヒストリー学会でも発表を計画中である。
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Causes of Carryover |
コロナ禍の余波で、予定していた遠方の出張が相当数キャンセルとなった。また、聞き取り調査の内容を整理するために予定していた人材が長期療養で仕事に従事できなくなった。こうした事情があったため、未使用の金額が増加した。しかし、次年度はコロナ禍の影響は少なくなり、出張も予定通り行えるうえ、アルバイト人材の確保も目処が立った。
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Research Products
(1 results)