2021 Fiscal Year Research-status Report
満洲引揚者の社会移動と生活再建をめぐる歴史社会学的研究
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21K01849
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Research Institution | Ritsumeikan University |
Principal Investigator |
佐藤 量 立命館大学, 先端総合学術研究科, 非常勤講師 (20587753)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | 満洲 / 引揚者 / 生活再建 / 社会移動 / 学校同窓会 / 会報 / 満蒙開拓団 / 農業移民 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、戦前から戦後にかけての満洲引揚者の社会移動に着目し、満洲時代の職業や学歴、家族構成などの社会的要因が、引揚げや再就職など生活再建にいかに影響を及ぼしているかを明らかにすることを目的とする。 2021年度は、まず満洲の高等教育機関出身者の戦後活動をめぐる実証調査を進めた。分析対象として旅順工科大学、ハルビン学院、大同学院を取り上げ、①満洲時代の教育内容の把握、②会報、同窓会誌の収集と記事目録の作成、③関係者へのインタビューを行った。これらの調査から、満洲時代に由来する同窓ネットワークが戦後の再就職に結びつく関係性を分析した。この成果の一端は、「日本と中国の同窓会の異同について」(中国人留学生史研究会第88回例会)として発表された。 また、高等教育を受けたエリート層の他にも、満蒙開拓団として満洲に渡った農業移民を対象として岐阜県中津川市にて現地調査・資料収集を行った。さらに、満洲・朝鮮の国境線に位置した鴨緑江における水力発電事業に携わった労働者についても実証調査を進め、熊本県水俣市におけるインタビュー調査及び熊本学園大学水俣学現地研究センターにて資料調査を実施した。学歴や生業の差異など社会的要因を考慮した満洲引揚者の類型化と全体像の把握ための現地調査・資料調査を行った。 一方、当初予定していた中国での現地調査については、新型コロナウイルス感染拡大による渡航制限により中止となった。中止となった調査は2022年度に実施予定であるが、引き続き渡航や調査が制限される場合は、国内での調査を優先する。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
継続的な資料調査・インタビュー調査の実施および研究成果としての研究報告など、概ね計画通りに研究を実施することができた。
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Strategy for Future Research Activity |
2022年度も引き続き満洲引揚者に関する資料調査及び関係者へのインタビュー調査を継続する。なお、2021年度に実施予定であった中国での海外調査については、2022年度に実施予定であるが、引き続き渡航や調査が制限される場合は、国内での調査を優先する予定である。
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Causes of Carryover |
新型コロナウイルス感染対策による海外渡航の制限により、2021年度に予定していた海外調査が実施できなかった。また、国内外の学会がオンライン開催となったため、成果発表のための旅費についても執行されなかった。海外調査については2022年度の実施を計画している。
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Research Products
(1 results)