2023 Fiscal Year Research-status Report
「生存権」をめぐる法的言説実践の歴史社会学的研究―セツルメントの法律相談を中心に
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21K01875
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Research Institution | Ibaraki University |
Principal Investigator |
冨江 直子 茨城大学, 人文社会科学部, 教授 (20451784)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 生存権 / 歴史社会学 / セツルメント / 法律相談 |
Outline of Annual Research Achievements |
令和4年度に行った二つの事例の研究を通じて浮かび上がってきたのは、調査者・支援者が貧困者の尊厳や生活、そして救済へのある種の「権利」を守るために、貧困者の声を代弁すると同時に彼らの声を奪っていく様子であった。令和5年度は、この問題について引き続き考察を進めるために、東大セツルメントの法律相談部の活動を事例として研究を進めた。令和4年度に研究対象とした方面委員の社会事業実践や、行政等による社会事業調査の事例と同様の枠組みで分析することは、利用できる資料の性格が大きく異なるために難しく、研究の目的や方法を再設定する必要があった。そのため、東大セツルメント関係の資料の内容を再度検討し直すとともに、問題設定と分析枠組みをあらためて明確化するために歴史社会学、社会事業史、法社会学を中心に、複数の領域の先行研究を広く学んだ。問題設定に関しては、ソーシャルワークと法律相談との接点において、現代的な課題にもつながっていく社会福祉実践の一つの可能性が拓かれたのではないかという仮説を得た。分析枠組みに関しては、資料の多くが後の時代に語られた回顧であることから、時間を経るなかで経験が解釈され、意味づけを与えられていく過程を含めて分析する方法について検討した。時間的な制約のため、歴史社会学的研究として成果をまとめていく作業を十分に進めることができず、論文を執筆することができなかったため、研究期間を延長して作業を続けることなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
資料の収集・分析を進めた結果、研究の目的と問いおよび方法をあらためて見直すことになった。令和5年度に研究成果をまとめることをめざしていたが、大学における業務が例年より重くなり、研究時間が想定より大幅に制約されため、研究の進捗が遅れてしまっている。
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Strategy for Future Research Activity |
研究成果をまとめるため、資料の収集と分析を補強しつつ、論文の執筆を進めていく。論文執筆の過程であらたな関心をもったり課題を見出したりした場合には、さらに研究計画を拡張していくこともありうる。研究計画の全体を振り返り、次の研究課題の構想へとつなげていくための準備も進めたい。
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Causes of Carryover |
大学の業務が例年より重く、想定していた研究時間を確保することができなかったため、資料収集などのための出張ができず、また文献調査も十分に進めることができなかった。研究会等にオンラインで参加できたことで、研究会参加のための旅費の支出もなかった。次年度は研究成果をまとめるため、資料収集や文献調査のために使用する予定である。
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Research Products
(2 results)