2021 Fiscal Year Research-status Report
Research on Formulation and Reorganization of Water Resource Management Entities
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21K01882
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Research Institution | Seisa University |
Principal Investigator |
保屋野 初子 星槎大学, 共生科学部, 教授 (20772841)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
秋山 道雄 滋賀県立大学, 環境科学部, 名誉教授 (00231845)
東 智美 星槎大学, 教育学研究科, 准教授 (70815000)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 北タイ / 住民組織 / 伝統的灌漑システム / ムアン・ファーイ / 灌漑用水管理の主体 / 地域社会システム |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、北タイと 日本の異なるタイプの3つの灌漑システムを対象に、利水者組織・農家の用水管理実態を調査し課題を把握した上で、各組織の特性、地域社会とのかかわり、利水者の意識などとの関係性を明らかにすることを目的としている。 1年目は、本件申請前に実施した調査結果を整理した上で、文献研究を行い、その成果を学会報告および学術論文にまとめる作業を行った。2021年度内に北タイの伝統的灌漑システム、ムアン・ファーイに関する論考を日本タイ学会の『年報タイ研究』に東・保屋野共著論文として投稿し、査読中である。また、学会発表の準備を行い、その成果は、2022年4月29日から5月1日にオンラインで開催された国際タイ学会第14回大会の分科会における「Formulation and Reorganization of Water Resource Management Entities: A Case Study on Muang Fai and Government-led Irrigation Systems in Northern Thailand」と題する共著発表に繋がった。学会発表と投稿論文の執筆作業を通じ、ムアン・ファーイが地域社会をネットワークするシステムとして機能していること、その主体的運営実態から灌漑用水管理の主体に関する仮説を導くことができた。 一方で、コロナ禍により、計画していた愛知川流域、ラーオ川流域における灌漑組織の利水者への聞き取り調査は実施できなかったが、愛知川沿岸においては現地踏査を実施した。聞き取り調査は次年度に延期することとし、学会発表及び論文執筆の過程で浮かび上がった論点を踏まえ、フィールドワークの計画に反映させ、次年度に実施する。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
2021年度中は、前年より続くコロナ感染拡大が波状的に継続し、国内においては緊急事態宣言や蔓延防止措置が断続的に実施されたこと、日本およびタイ国の出入国制限によって国内外ともに調査対象地における調査を見合わせざるをえなかったためである。当初計画していた、愛知川沿岸土地改良区での聞き取り調査、北タイの2つの灌漑システムの利水者への聞き取り調査を実施できなかったことにより、研究計画の進捗に遅れが出ている。一方で、それによって生み出された時間・労力をこれまでに蓄積した調査データの整理・分析に充てることができ、学会発表、投稿論文への早めの取り組みが可能となった。
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Strategy for Future Research Activity |
2年目となる2022年度は、国内外ともにコロナ感染対策の規制が緩和される傾向にあることから、現地調査を実施する。ことに北タイにおける調査では、1年目の作業を通して立てた、灌漑用水管理の主体に関する仮説を検証することを主目的とし、ムアン・ファーイの利水者および水利組織、近代的灌漑システムの利水者および水利組織の「主体」のありようについて比較を可能にするための聞き取り調査を実施する。具体的には、個々の利水者と水利組織との関係、水利組織内での水利調整ほか紛争解決機能、組織外に対する交渉力や紛争解決機能、地域社会との関係などに関する事項に焦点を当てる。愛知川沿岸における現地調査においても同様の質問項目を入れ、北タイの事例と比較可能な調査を行う。これらの調査結果を整理し、2年目の段階での仮説の検証を試み、その成果を論文にまとめ投稿する。
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Causes of Carryover |
2021年度において計画していた国内外の現地調査を、コロナ感染拡大の継続による影響で見送らざるをえなかったため、2022年度においては、当初計画では2021年度に予定していた現地調査(北タイにおいて3人で1回、愛知川沿岸において3人で2回)を1年遅れで実施することに加え、当初計画の2年目の現地調査(北タイにおいて2人1回、愛知川沿岸において3人2回)も可能なかぎり実施する予定である。そのための旅費の確保が必要となることにより、次年度使用額が生じた。
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Research Products
(1 results)