2022 Fiscal Year Research-status Report
海外で育つ日系児童の言語習得と文化的帰属意識について
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21K01883
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Research Institution | Dokkyo University |
Principal Investigator |
岡村 圭子 獨協大学, 国際教養学部, 教授 (70383205)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | 外国語としての日本語 / 子ども / ギムナジウム / 文化的アイデンティティ |
Outline of Annual Research Achievements |
Covid-19に関連した諸々の制約のもと、当初予定していたドイツでの現地調査ができなかったため、日本国内でのインタビュー調査、研究会、および関連文献・資料を用いた理論研究を中心にしながら研究を進めた。 外国語としての日本語をに学習・習得する子どもの様子や、外国籍の親を持つ子どもの多文化・多言語環境および、かれらの文化の受容(文化的なアイデンティティ形成のプロセス)については、兄弟姉妹間でも、その時々の政治状況によっても、また家庭環境によっても違ってくることが調査の中でうかびあがってきた。とくに興味深いのは、幼少期(就学前)におけるメディアなどで語られる「国家イメージ」が、その後のアイデンティティ形成や言語選択にも深く関与している可能性があるという点である。これについては、さらに聞き取り調査を進めたい。 今年度、在独の調査対象者に対しては、オンラインでのインタビューを行った。日本語教育にかんするシンポジウムにも参加し、昨今の日本語学習をめぐる状況について知見を深めた。 ドイツのギムナジウムでの日本語学習においては、「日本語の単位を習得すること(アビトゥアで日本語を選択すること)」が、進学に直結する「良い成績」をとるのための戦略として用いられている事例があきらかになった。また、日本語の学習が、親との関係の良し悪しに関連づけられるケースもあるという。こうした事例からは、これまで調査してきた、週1回の日本語学習施設に通う子どもたちとは違った学習動機があることを示している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
これまで扱ってきた事例とはちがったケースや、日本国内での外国語話者の子どもたちの日本語学習の状況など、多様な事例を集めることができているものの、まだドイツでの現地調査が実現していないため。
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Strategy for Future Research Activity |
まずは、調査対象者とのスケジュールや大学の業務をうまく調整し、ドイツでの現地調査を実施したい。 それと同時に、これまでの途中経過を、各種学会・研究会で発表し、ほかの専門家からの助言・コメントを求めたい。
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Causes of Carryover |
社会情勢や学務スケジュールの調整がつかず、ドイツでの現地調査ができなかったため、交通費などの支出がなかった。今年度は現地調査を実施する予定。
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