2021 Fiscal Year Research-status Report
Research on suicide prevention measures in Koreans Minority in Japan
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21K01886
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Research Institution | Toyo University |
Principal Investigator |
井沢 泰樹 東洋大学, 社会学部, 教授 (60303997)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | 在日コリアン / 自殺予防 / 精神障害 |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度はおもに在日コリアンの精神障害と自殺予防対策研究のために、以下の調査をおこない、そこから考察されることとして①在日コリアンの自殺には日本社会からの差別の問題が色濃くあるということ。近年ではヘイトスピーチの問題がある。②在日コリアン女性における複合的差別の問題。③在日コリアンコミュニティにおけるアイデンティティ・ポリティクスによる抑圧性等がある。研究成果は以下のとおりである。 【実態調査】Googleフォームを使った「在日コリアンのメンタルヘルスに関するアンケート調査」(2021年6月1日~7月31日まで実施、回答者数165名【インタビュー調査】計6名、内訳自死遺族1名、自死友人1名、自殺企図者4名、結果は現在公表可能内容をインタビュー協力者と交渉中、【学会発表】①第45回 自殺予防学会大会2021年9月4日~5日、発表題目「在日コリアンの自殺予防に関する現状と課題」、②令和3年度 茶屋四郎次郎記念学術学会大会総会・研究発表会2022年1月23日、発表題目「在日コリアンの自殺問題と求められる対策-アンケート調査をもとに-」)、【刊行物】①論文(調査報告)「在日コリアンの自殺予防に関する研究―アンケート調査の結果から―」(『東洋大学社会学部紀要』第59巻2号、2022年3月)、②著書Zainichi Koreans and Mental Health: Psychiatric Problem in Japanese Korean Minorities, Their Social Background and Life Story, (Routledge Contemporary Japan Series) , Routledge; 2021年10月26日(私の韓国名であるTaeyoung Kimで上梓)。また今年度は在日コリアンメンタルヘルスに関する相談窓口「在日コリアンいのちのメール」を開設した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今年度は実態調査およびインタビュー調査もスムーズに運んだ。しかし、インタビュー調査協力者とのあいだで、研究成果として発表する上でどこまで明らかにしてよいかという点について意見交換をしており、現時点で発表の時期は未定である。しかし、この問題はプライバシーの問題、まだ研究上の倫理的問題に関わる重要な問題であり、時間がかかっても調査協力者の意思を尊重して進めなければならず避けられないことと考える。 また、研究成果としては、実態調査を「調査報告」として本学部紀要に発表したと同時に、「在日コリアンと精神障害」をめぐる英語版の著書を上梓できたことは意義深いものと考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度はネットによる実態調査とともに、インタビュー調査をおこなったが、その対象者はおもに首都圏と関西の都市部の人に限られていた。これまでお話をうかがった中で浮き彫りになったのは、在日コリアンで自殺に至ってしまうのは、在日コリアンコミュニティが多い都市部よりも、一人ひとりの「在日」が孤立している「地方」のほうにより深刻な現状があるのではないかという声である。そうしたこともあり、来年度は日本全国のいわゆる地方都市を念頭にインタビュー調査等を実施していきたいと考えており、在日コリアンの自殺予防問題の全体像の把握に努めたいと考えている。
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Research Products
(4 results)