2021 Fiscal Year Research-status Report
コロナ危機下におけるトランジション・シティ形成のための基礎的要件に関する研究
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21K01899
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Research Institution | Institute on Social Theory and Dynamics |
Principal Investigator |
吉原 直樹 特定非営利活動法人社会理論・動態研究所, 研究部, 研究員 (40240345)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
石沢 真貴 秋田大学, 教育文化学部, 教授 (20321995)
大塚 彩美 東京家政大学, 家政学部, 特任講師 (80830603)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | トランジション・シティ / サロン / バンジャール |
Outline of Annual Research Achievements |
研究の初年度である令和3年度は、まず研究分担者である石沢真貴および大塚彩美と研究計画調書の内容を確認した上で、研究目的、方法および実施計画についてあらためて協議し、役割分担を設定し直した。具体的には、研究目的に関連する文献・資料を図書館等で検索し、それらを持ち寄り、そこから論点を抽出した。そしてそれらを共有した。そして次に、フィールドを再設定した。その段階で、当初予定していたフィールドのうち、秋田市はそのままにして、多摩市についてはフィールドの側の都合で断念した。その代わりに横浜市金沢区および徳島県阿南市をあらたにフィールドに据えた。そして秋田市は石沢、金沢区は大塚、阿南市は吉原がフィールドワークの責任者(担当者)となった。主に今年度は、上記分担体制の下にそれぞれのフィールドの概況調査を実施するとともに、インフォーマントにたいするヒアリングをおこなった。そしてそれらの成果をファイリングし、メンバーの間で共有した(併せて、フィールドに特化した関連文献・資料の収集につとめた)。その結果、3つのフィールドにおけるコロナ禍の地域社会の実態が、とりわけ子ども食堂/地域食堂の実相の分析を通して部分的に明らかになった。ただし、インテンシヴな調査(アンケート調査等を含む)は次年度にまわし、今年度はパイロット・スタディとしての成果集約をおこなうことにした。なお、その成果は、現在、集約中であり、近々、中間報告書として発表する予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
3つのフィールドの概況調査は、フィールドの再設定にもかかわらず順調にすすんでいる。その理由としては、それぞれのフィールドにおいて当該市や社会福祉協議会等の関連部局の支援が得られた上に、インフォーマントとの対話がすすんだことが大きい。また研究メンバー間の協働体制がうまく機能し、それぞれの概況調査の成果がスムーズに共有されていることも大きい。その結果、パイロット・スタディの段階であるにもかかわらず、早期に中間成果の集約が見込まれるまでになっている(5 研究実績の概要、参照)。ただし、研究実施計画で掲げていた海外調査は、フィールドであるバリがコロナ禍のパンデミックのため実施することができなかった。それについては2年次以降に先延ばしになったが、全体としての研究の進展には大きな障害にはなっていない。
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Strategy for Future Research Activity |
3つのフィールドについて、テーマにより即したインテンシヴな調査をおこなう予定である。そしてそれぞれのフィールドから得られたfindingsを、現在集約中の中間報告書で明らかになった事実と突き合わせながら再統合し再整序する。同時に、それらの成果を関連学会(日本都市学会等)で報告するとともに、学会誌に投稿する予定である。なお、初年度におこなうことのできなかった海外のフィールド調査も、状況をみながら可能なかぎり追求する(これについては、現在、カウンターパートナーと協議中である)。それらを通して、コロナ禍のエッセンシャル・ワーカーの実相を見据えながら、かれら/かの女らが身を置くコミュニティがどう変容しているかを明らかにしたい。もちろん、それらは初年度の子ども食堂/地域食堂の実相分析と密接に関連している。序に、この間、近似したテーマの許に累積されているモノグラフィーの成果も摂取したいと考えている。
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Causes of Carryover |
本報告書の項目7で記したように、初年度はカウンターパートナーの事情に加えて、コロナ禍のパンデミックによって海外調査(パイロット調査)を実施することができなかった。そのため、海外調査を前提にしていた使用計画を部分的に国内調査にシフトとした。ちなみに、当初実施計画では次年度に海外現地調査(文献資料検索、ヒアリング等)を実施する予定になっている。したがって2年次の海外調査を実施するには、初年度に当初計画を変更しておこなった国内調査の実施状況を踏まえて、使用計画を見直す必要がある。これにはコロナ禍のパンデミックを見据えながら、メンバーおよびカウンターパートナーと協議し、柔軟に展開していく必要がある。コロナ禍のパンデミックがなお続くようであれば、海外調査の再度の延期もあり得る(場合によっては、見直しもあり得る)。その場合、国内調査をいっそう拡幅することも必要になってくるし、使用計画の再度の変更もあり得る。
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