2022 Fiscal Year Research-status Report
エスノメソドロジー成立期における知覚の現象学の影響の解明
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21K01901
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Research Institution | Yamaguchi University |
Principal Investigator |
秋谷 直矩 山口大学, 国際総合科学部, 准教授 (10589998)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | エスノメソドロジー / 現象学 / ゲシュタルト心理学 / ガーフィンケル / グールヴィッチ |
Outline of Annual Research Achievements |
2022年度の上半期は育児休暇取得により研究することはできなかったが、下半期の復帰後、昨年度までの文献資料の整理・分析の成果として、第95回日本社会学会大会にて「ガーフィンケルによるグールヴィッチの「意図的な誤読」とはいかなる実践か」と題して発表した。内容は以下の通りである。 グールヴィッチの『意識の領野』のテクストのオーソドックスな読解と、ガーフィンケルによるエスノメソドロジーの態度によるその「意図的な誤読」の対照比較作業を通して明らかにしたことは、以下3点である。まず、(1)要素還元主義的な心理学における感覚と知覚の二元論的前提を批判するグールヴィッチの議論の形式を、ガーフィンケルはパーソンズ的な具体的行為/分析的行為の区別を導出するために敷衍している。(2)要素還元主義的な心理学における「感覚的総体はカオスである」という前提を批判し、それ自体秩序立っているとするグールヴィッチの議論の形式を、ガーフィンケルは社会における普通の人びとの具体的行為に敷衍し、人びとの行為は自生的かつ秩序だっているという結論を導いている。そして、(3)グールヴィッチは「文脈」概念を純粋意識のうちに「不変的に」形成される知覚されたゲシュタルトの構成的一貫性として用いているが、ガーフィンケルはこれを行為や活動の組織を意味するものとして読み替えている、ということである。以上の整理を踏まえ、先行研究においては、特に上述の(1)のポイントが十分に議論されていないことを指摘した。 (1)のポイントは、ガーフィンケルがパーソンズ的な社会学における構造ー機能の議論に準拠しつつ、それをグールヴィッチを経由したゲシュタルト心理学の知見を用いてエスノメソドロジー的に読み替えていったことを示すものである。この点は、本研究の課題に照らして更なる検討を要する重要なトピックである。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2022年度の上半期は育児休暇を取得したため、研究を進めることができなかった。しかし、研究開始初年度である前年度の文献整理・分析作業により、ガーフィンケルに対するグールヴィッチの影響についての基本的な部分を明らかにすることができた。また、その成果を学会発表することもできた。以上のことから、「おおむね順調に進展している」とした。
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Strategy for Future Research Activity |
2023年度は、前年度までで発見された発展的課題である、ガーフィンケルがパーソンズ的な社会学における構造ー機能の議論に準拠しつつ、それをグールヴィッチを経由したゲシュタルト心理学の知見を用いてエスノメソドロジー的に読み替えていったことの内実を検討する。また、資料分析の範囲をガーフィンケルの弟子や共同研究者のテクストにも広げ、エスノメソドロジー草創期における現象学の影響を多角的に検討する予定である。
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Causes of Carryover |
2022年度の上半期は育児休業を取得したため、研究がストップした。その結果として、次年度使用額が生じた。 2023年度は、2022年度上半期に行うことができなかったパーソンズの機能構造主義にかんする資料収集に次年度繰越分を重点的に使用する。また、さらなる余剰分については、成果発表の旅費に使用する。
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Research Products
(1 results)