2023 Fiscal Year Research-status Report
災害社会学の体系化を基礎にした東日本大震災の全体像の解明
Project/Area Number |
21K01925
|
Research Institution | Shokei Gakuin College |
Principal Investigator |
田中 重好 尚絅学院大学, 総合人間科学系, 特任教授 (50155131)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
黒田 達朗 椙山女学園大学, 現代マネジメント学部, 教授 (00183319)
|
Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2025-03-31
|
Keywords | 東日本大震災 / 災害復興 / 地域間比較 / 復興パラダイム / 災害の生産 / 災害の構築 / 災害社会学の理論 |
Outline of Annual Research Achievements |
東日本大震災の復興過程について実証的な研究を進めた。 具体的には、広域的な災害であった東日本大震災の特徴を考慮して、復興の地域間比較を実証的に進めた。現在、仙台以南の名取市、岩沼市、山元町の復興過程についての研究をまとめ、公刊している。その後も、リアス海岸部の地域の復興過程を具体的にまとめている。 こうした実証的な研究に基づいて、災害の理論的な研究を、次のように進めてきた。第一には、東日本大震災の復興政策を政府がどう立案したのかを、「復興パラダイム」として、取り出し、その復興政策の原理を明らかにした。その政策原理から、東日本大震災の復興がオーバースペックとなり、結果的に、被災者を「周辺化」したことを議論した(日本社会学会の英文誌の発表論文参照)。第二に、災害を社会学的視点からどう研究すべきなのかを、これまでの日本とアメリカの災害社会学研究を参照しながら、「災害の社会的生産」と「災害の社会的構築」という二つの観点から研究する理論的な枠組みを提示した。この議論は、すでに東日本社会学会での発表と同学会誌に発表してきたが、この理論的な検討をさらに進化させて、理論的な整理を進めている。これに加えて、災害現象を被説変数として理論だてするだけではなく、災害を説明変数として社会を分析する可能性についても、理論を拡張している。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
全体としては、特に、理論研究としては順調に進行している。だが、コロナの影響により、現地調査が、被調査者から延期の申し出などがあり、その分、実証的な研究が遅れている。
|
Strategy for Future Research Activity |
今後、理論的な検討をまとめるとともに、残されている実証研究を進める。
|
Causes of Carryover |
コロナの影響で、実地調査が遅れ、全体の研究のまとめが遅れたため。
|