2021 Fiscal Year Research-status Report
中国社会主義革命をめぐる歴史社会学:民衆の日常生活と政治の関係を中心に
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21K01926
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
鄭 浩瀾 慶應義塾大学, 総合政策学部(藤沢), 准教授 (40458964)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 日常生活 / 民衆 / 政治 / 社会主義革命 / 歴史社会学 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度の研究実績は以下の通りである。 第一に、1950年代の庶民日記や中国社会主義革命に関する研究文献を精読し、本研究に関する理論的な視点や最新の動向を整理した。 第二に、欧米の中国研究者と積極的に交流を行った。2021年11月13日に、社会主義時代の中国農村について数多くの業績をもつ陳意新先生(アメリカのノースカロライナ大学ウィルミントン校歴史学部准教授)を招いて、慶應義塾大学東アジア研究所現代中国研究センターで講演会をオンライン開催した。同講演会を通してこれまであまり知らなかった1950年代末から1960年代初めにかけての中国農村の実態を知ることができた。 第三に、中国で開催された国際シンポジウム・ワークショップに積極的に参加し、研究報告を2回行った。2021年12月4日に中国華東師範大学が主催した「中国当代史に関する日中共同研究ワークショップ」にオンライン参加し、「日常生活のなかの思想改造:ある小人物の内面世界」をタイトルとする報告を行った。2021年12月10日に中国復旦大学が主催した国際シンポジウム「社会生活資料のなかの現代中国の婚姻と家庭」にオンライン参加し、「戦争、革命と親子関係:子供をめぐる日常政治」をタイトルとする研究報告を行った。この二つの報告とも、民衆の日常生活と政治との関係について論じたものである。 第四に、英語で研究成果の一部を国際的に発信した。2022年3月30日に開催された国際学会ISAの学術大会(the Annual Convention of International Studies Association)のにオンライン参加し、ポスター発表(タイトル:“Political Mobilization and Student Activism under Mao in the 1950s”)を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は新型コロナウイルスの感染拡大により、当初実施を計画していた海外での調査を行うことができなかったが、当該研究について優れた研究業績を持つ海外の研究者を招聘してオンライン講演会を開催したほか、積極的に国際シンポジウム・ワークショップ・国際学会に参加し、研究報告を3回行った。こうした活動を通して本研究に関する最新の研究動向および研究視点を把握するとともに、研究成果を国際的に発信することができた。また、海外の研究者と交流を深めることもできた。
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Strategy for Future Research Activity |
2022年度は、まず、新型コロナウイルスの感染拡大によって延期された海外での研究調査活動を実施する予定である。アメリカ・スタンフォード大学のフーバー研究所、UCLA及び他の研究機関に所蔵される現代中国に関する史料を収集し、それに基づいて民衆の日常生活と政治との関係をより実証的に考察を行う。中国への入国制限措置が緩和されれば、中国の上海市、江西省、広東省、福建省などの地域に足を運び、地方文献資料を収集するとともに、農業集団化と社会主義改造運動を経験した人々に対してインタビューを実施する予定である。 次に、2021年度に引き続き、当該研究に関する文献資料の精読および海外の研究者との交流を行う。文献資料の精読に関しては、ソ連史や共産主義体制の比較史に関する最新の研究動向を踏まえた上で、革命イデオロギーの受容と個人の内面世界の葛藤を中心に先行研究を整理する。海外の研究者との交流については、当該研究について優れた研究業績を持つ海外の研究者を招聘してオンライン講演会を開催する。 第三に、研究成果の国際的な発信に努める。国際学会および国際シンポジウム・ワークショップに積極的に参加し、研究成果を発表するほか、英語で学術論文も執筆し、中国研究に関する英文の学術誌に論文の投稿を行う。
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Causes of Carryover |
新型コロナウイルスの感染拡大により、当初実施を計画していた海外での調査を行うことができなかったため、次年度使用額が生じた。2022年度の使用計画は以下の通りである。まず、アメリカのスタンフォード大学、UCLA、コロンビア大学などの研究機関で資料収集を行い、当該研究課題に関わる国際学会に参加する。また、中国でのコロナ制限措置が緩和されれば、中国で調査を実施することも予定している。そのために旅費が生じる。次に謝金である。具体的には、データ入力や資料収集にかかる人件費、英文論文の校正料金、海外の研究者への招聘費用などを含む。第三に研究活動の遂行に必要な消耗品の購入費用が生じる。
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