2021 Fiscal Year Research-status Report
Gendered Migration and War in East and Southeeat Asia
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21K01929
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Research Institution | Rikkyo University |
Principal Investigator |
石井 香世子 立教大学, 社会学部, 教授 (50367679)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 移民 / 東アジア |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、東南アジアから東アジアへのジェンダー化された女性移民の流れの構造に、海外既存研究が指摘する「東・東南アジアに特有の、家族や社会に対する女性の犠牲を正当化する伝統的社会システムが近代化に伴い拡大したもの」というよりむしろ、「20世紀アジアに欧米列強/先進国が持ち込んだ社会システムのひとつ」という側面もあるのに光を当てることにあった。具体的には、ベトナム戦争時当時の当事者の証言と現地資料をもとに、1970年代後半以降のタイ・フィリピンから日本へのジェンダー化された女性の流れの背景には、ベトナム戦争のため東アジアに駐留するアメリカ軍の需要を満たすためという外的要因が引き起こした、ローカルな産業構造の変化があったことを立証することを目的としていた。 タイ東北部、フィリピン、米国でのインタビュー調査および資料調査と、日本各地でのインタビュー調査の実施を中心とする今回の調査であるが、2021年度は、そのどれもが新型コロナウィルス感染症対策が敷かれた状況下で実施できなかった。よって2021年度は次年度にこそインタビュー調査を実施するため予算を残しつつ、文献調査のみを実施した。文献調査を取り纏めたものを徐々に出版しつつあり、2021年度はこれらが研究結果となる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
初年度となる2021年度は、文献調査を進めつつ、国内各地の入国管理局のでインタビュー調査を実施し、フィリピン・タイへもプレ調査に行く予定であった。しかし新型コロナウィルス感染症対策が敷かれた状況下にあって、インタビュー調査の実施が困難を極めた。海外調査の実施困難はもとより、国内調査においても、本調査のインタビュー対象者はベトナム戦争当時の証言をすることができる方々--その多くが高齢者であり、2021年度の社会状況下、地方在住高齢者へのインタビューの実施は不可能だった。そこで2021年度はインタビュー実施予算を温存して次年度へ持ち越しつつ、時間的にはインタビューの分まで文献調査に費やした。その結果当然ながら、文献調査の方は従来の想定より充実した内容をこなすことができたといえる。
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Strategy for Future Research Activity |
2年目となる2022年度は、初年度の遅れを挽回すべく、精力的に調査を実施していく予定である。2022年度夏の大学長期休暇中の研究のための海外渡航に対して、大学からどのような許可ルールが出るか不明瞭である中、とにかく国内調査を本年度中に一通り実施できることを目標として、インタビューを実施していく予定である。2021年度に文献調査、2022年度に国内調査を着実に固めていくことで、2023年度を海外調査実施の年とし、2024年度に、当初予定に遅れることなく全体取り纏めができることを目指す。
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Causes of Carryover |
2021年度のあいだ、新型コロナウィルス感染症対策のため、予定していた国内各地よび海外でのインタビュー調査が実施できなかった。このためインタビュー実施予算については、2022年度以降予定していた調査を実施できるよう、2021年度の間温存し、次年度に使うものとした。2022年度中に、国内の調査は実施する見込みである。また渡航が可能に可能になり次第、タイ、フィリピン、アメリカのうち入国できる国から予定していた調査を実施していきたい。
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