2021 Fiscal Year Research-status Report
資本主義生産の世界的テクノロジーはいかに日本で生まれ進化したか
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21K01931
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Research Institution | Kinjo Gakuin University |
Principal Investigator |
林 真人 金城学院大学, 国際情報学部, 教授 (30601900)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | 労働 / 管理 / 資本主義 / ローカル / 都市 / 社会運動 / フィールドワーク / 理論構築 |
Outline of Annual Research Achievements |
フィールドワークとしては、コロナの問題はあったものの、名古屋市内の活動家に対するインタビューを2度実施することができた。資料分析としては、愛知県内および国内の労働過程についてのローカル資料を収集し、これを分析することで、歴史的な把握を行った。 理論的には、「労働」についての理論枠組みを構築した。これは、従来の構造主義的な労働過程論や労働運動論の、どちらかというと固定的な階級性を重視する議論に一石を投じるものである。本年度の理論面での研究を通じて明らかとなった認識は次の4点にまとめられる。(1)これまでの労働過程論・労働運動論の可能性を単に否定するのでなく、それにシンパシティックであることが必要であること。(2)それをダイナミックな過程として捉え直すことが必要であること。(3)英語圏の研究者に対し明瞭な形で理論的な提案をすることが必要であること。(4)この理論的な提案において、日本および愛知の労働の事例が重要であること。 この理論枠組みを実証的な情報と結びつけ、英語論文の作成・投稿を進めた。インパクトファクター5.0程度のジャーナルに、概要をオリジナル論文として投稿した。現在は審査段階だが、Minor Revisionの状態であることから出版の可能性がある。さらに私が過去に行ったホームレスの人々についての研究についても、本課題の研究テーマに即し、資本主義における労働過程とその管理として捉え返すことが可能となったため、資本主義下の「ホームレス労働」(homeless labor)という理論を構築し、資本主義発達と結びつけて論文化し、投稿した。SAGEジャーナルのCritical Sociology (インパクトファクター1.8)で受理され、出版された。また私がかねてから準備してきた英語書籍でも本研究の理論の一部を統合する作業を進めた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
コロナの問題もあり、インタビュー作業や参与観察について制約が生じた。しかし、それによって空いた時間を、資料分析・理論研究・論文作成のために使うことができた。このため、全体の研究プランを考えた場合には、おおむね順調に進展しているということができる。
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Strategy for Future Research Activity |
フィールドワークについては、参与観察を進め、インタビューを行っていきたい。コロナの状況に一定の改善が見られるので、フィールドワークを推進していきたい。 理論化の作業については、非常に順調に推移しており、これをクリアな理論としてさらに展開する作業を進めていきたい。 論文や書籍として発表する作業については、すでに投稿した論文が出版できるように努力することに加え、新しい論文の執筆を進め、世界的なインパクトを生み出せるようにしていきたい。
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Research Products
(1 results)