2021 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
21K01936
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Research Institution | Ritsumeikan University |
Principal Investigator |
坂田 謙司 立命館大学, 産業社会学部, 教授 (70388081)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 女性 / 声 / 販女 / 路上販売 |
Outline of Annual Research Achievements |
交付初年度の2021年度は、新型コロナウィルス感染症拡大により、県外移動の自粛が求められ、出張による調査(国会図書館等への資料調査)が困難であった。そのため、進捗としてはあまり進んでいないのが現状である。 本研究において、いつから女性の声に社会的、文化的な関心が高まったのかに関しては、文献調査によって一部明らかとなった。例えば、平安期における女性は殆ど声を発することがなく、蚊の鳴くような小さな声を発することが美徳とされた。また、女性は人前で唄を歌うことはせず、唄を歌うのは身分の低い「芸人」の行いであった。貴族の間では声に関する一定の基準が観られたが、庶民や農民、芸人の間で声がどのように扱われていたのかは、まだ不明である。 また、商業が盛んになると、海産物や農産物を近隣に売り歩く「販女(ひさぎめ)」と呼ばれる女性が登場し、住民に存在を知らせるかけ声が生み出された。江戸時代になると、生活面において路上販売が盛んとなり、さまざまな生活用品の物売りが誕生した。中には女性の物売りもおり、その際には大きな声で近隣に知らせる行為や、独特の節によって販売する商品の告知が行われるようになった。その際には他の物売りよりも聞こえやすく、聞き取りやすい声やかけ声が作られたと考えられる。 このように、明治以前に関する調査は若干進んでいるが、明治期以降に女性と声がどのように結びついていったのかは、2022年度に持ち越されている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
報告にも書いたが、新型コロナウィルス感染症拡大により調査のための外出が困難となり、国会図書館等への調査が困難であったことがもっとも大きな理由である。
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Strategy for Future Research Activity |
2022年度は、今年度行えなかった国会図書館への調査頻度をあげ、明治期以降の女性と声の関係を解明する。特に、職業婦人の登場、さまざまな職業での声の利用、電話交換手と女性アナウンサーの登場と声の社会化に関する調査を行う予定である。
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Causes of Carryover |
新型コロナウィルス感染症拡大のため出張が困難となり、調査に伴う旅費執行が困難となったため。 5月末以降、国会図書館へ調査を月に1回ないし2回程度実施し、日本における機械産業史、自動化と声の関係を調査する。また、女性の社会進出と職業の関係、その職業と声の関係を確認する。例えば、デパートの登場と女性販売員、観光産業における女性ガイド、戦後有線放送と女性アナウンサーの関係などを調査し、確認する予定である。そのため、主に旅費と資料コピー代および関係文研の購入に使用予定である。
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