2023 Fiscal Year Research-status Report
高齢者の在宅介護推進の障壁「介護者の阻害要因」への適切なアセスメント方法の開発
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21K01950
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Research Institution | University of Kochi |
Principal Investigator |
福田 敏秀 高知県立大学, 社会福祉学部, 助教 (60839439)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 高齢者 / 認知症 / 家族介護者 / 介護負担感 / 介護支援専門員 / アセスメント |
Outline of Annual Research Achievements |
日本の高齢化は進み、団塊の世代が75歳以上となる2025年以降、医療・介護需要は更に増加すると見込まれている。国はこの2025年を目途に、高齢者の尊厳の保持と自立生活の支援の目的のもとで、可能な限り住み慣れた地域で、自分らしい暮らしを人生の最期まで続けられるよう、地域の包括的な支援・サービス提供体制(地域包括ケアシステム)の構築を推進している。今後、認知症をもつ高齢者の増加も見込まれており、認知症の高齢者の地域生活を支えるためにも、地域包括ケアシステムの構築は重要視されている。本研究は、高齢者の在宅生活に対しより効果的な支援方法を導くため、在宅継続の阻害要因の一つにあげられる家族介護負担感に着目する。特に認知症をもつ高齢者の家族介護負担感を介入する専門職がどのように捉えているのか、そのメカニズムを解明しそこから標準的アセスメント・ツールを開発する。本研究の成果は、在宅高齢者へのより効果的な支援につながり、高齢者の在宅継続をより促すことが期待されることから、地域包括ケアシステム構築に貢献するものと考える。 2023年度、新型コロナウイルス感染症は感染症法上、5類感染症に位置づけられたものの、本研究の調査フィールドが高齢者の居宅であること、調査対象者が在宅高齢者に介入する介護支援専門員であることから、調査の実施には引き続き十分な配慮を要し、特に観察やインタビューを進めるのには難しいと考えられる状態が続いた。同様にアンケート調査も介護支援専門員の業務負担や実践現場の状況をみながら、引き続き方法の検討を行った。これらに並行して、今年度、関連する既存の調査データを用いて、本研究の基盤的研究の一部と捉えられる論文を作成した。また、認知症対応型共同生活介護事業所に関する学会発表を行った。介護サービスによる高齢者への地域生活支援の観点から、本研究に間接的に関連する研究実績としてここに加える。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
2023年度、新型コロナウイルス感染症は、感染症法上の分類が5類感染症に引き下げられたが、その後も本研究の調査対象者である介護支援専門員の実践現場の状況、業務負担については、引き続き十分な配慮が必要と考えられた。そのため、暫く計画に従った調査等の実施に踏み切るこができず準備を進める段階となった。
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Strategy for Future Research Activity |
ここまで研究計画に沿った調査の実施が滞っているため、今一度、計画を見直すことも視野に入れながら進める。今後は、まず、介護負担感に関する既存尺度に対する介護支援専門員の認識と日常相談場面での使用等について、アンケート調査を実施する予定である。また、介護支援専門員の個別相談場面の観察およびインタビュー調査についても開始に向け準備を整える。観察、インタビュー調査は、調査対象者および所属事業所の協力を仰ぎながら、より円滑な実施方法を検討しつつ進めたい。これまで基礎研究として行ってきた文献レビュー等で集めた知見を基に、また、研究環境やネットワークをより活かして調査・研究を遂行したいと考えている。
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Causes of Carryover |
2023年度、新型コロナウイルス感染症は感染症法上の分類が5類感染症に引き下げられたが、研究フィールドの実情を踏まえ、引き続き観察およびインタビュー、アンケート調査を控えたため、旅費や質問紙作成及び送付等にかかる支出がなかった。2024年度は、アンケート調査を実施する予定であり、質問紙作成や送付について支出を要する。観察およびインタビュー調査につていは、打ち合せ等の準備から調査実施を予定するためそれらにかかる旅費等の支出があげられる。また、所属する研究機関の変更に伴い、必要に応じて研究機器等の必要物品の支出が考えられる。
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