2021 Fiscal Year Research-status Report
障害との関連に着目した児童虐待への対応・支援の実態把握と地域ネットワークの開発
Project/Area Number |
21K01968
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
大村 美保 筑波大学, 人間系, 助教 (60641991)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
相馬 大祐 福井県立大学, 看護福祉学部, 准教授 (70533199)
野村 政子 東都大学, ヒューマンケア学部, 准教授 (70739391)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 虐待 / 障害児 / 地域 / ネットワーク / 支援 |
Outline of Annual Research Achievements |
近年、児童虐待相談対応件数は一貫して上昇傾向にあり、児童虐待の未然防止及び虐待が発生した場合の早期発見、介入・支援の強化が求められる。児童虐待と障害との関連では、障害児は一般児に比べ虐待リスクが極めて高いことが知られ、また、知的・発達・精神障害(疑いを含む)のある保護者により児童虐待に至るケースも少なくないが、障害との関連に着目した児童虐待への対応・支援に関する研究はほとんど行われていない。本研究は、児童虐待と障害との関連に着目し、障害児及び障害のある保護者からの児童虐待の未然防止・早期発見と虐待への対応・支援に関する実態把握を行い、児童虐待を発見しやすい立場にある保健・医療機関、学校、障害児通所支援事業所、民生委員・児童委員、相談支援事業所、インフォーマルサポート等を含めた児童相談所及び要保護児童対策地域協議会による地域ネットワークでの連携・支援モデルの提案を目的としている。 初年度である2021年度は、児童虐待の障害との関連における実態と課題を整理し、地域ネットワークにおける連携・支援の方向性について具体的な検討を行うため、本研究課題における問題構成の整理を行った。1.障害児は虐待リスクが高いことが先行研究で判明しているが、児童相談所では障害児虐待の件数をシステム上カウントする仕組みがなく、都道府県の圏域を単位として構成される児童相談所と、市町村のさらに小さな単位で形成される地域ネットワークでの支援を展開する上でのボトルネックが存在する(大村,2022)。 2.社会福祉法改正により重層的支援体制整備事業の整備が展開されつつあり、地域ネットワークでの連携・支援に大きく影響が考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
障害との関連に着目した児童虐待に関する基礎的研究のレビューを終えている。また、大村、野村は厚生労働省委託研究「障害者虐待事案の未然防止のための調査研究一式」に継続して参加しており、その中でも特に基礎自治体における虐待通報後の判断や支援体制に関する問題構成が明確となった。加えて、複数の基礎自治体(さいたま市、古河市、行田市、柏市、福井県等)との関係を形成しており、次年度以降の研究を遂行するための基盤がある。
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Strategy for Future Research Activity |
以下の関係機関に対する実態調査を行い、障害児に対する児童虐待、及び障害のある保護者による児童虐待について、虐待ケースの特徴・傾向を明らかにするとともに、未然防止及び早期発見、介入・支援の実際を把握する。調査は、2018-2020年度において既に調査実施済みの障害児通所支援事業所、児童相談所、要保護児童対策地域協議会、特別支援学校を除いて行うこととし、以下の分担により行う。 Ⅱa 障害児への虐待(大村):保育所、幼稚園、小中学校、子ども食堂、親の会など Ⅱb 障害のある親による虐待(相馬):障害者相談支援事業所、障害保健福祉所管課など Ⅱc 地域包括支援ネットワーク(野村):保健機関、医療機関、民生委員・児童委員など
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Causes of Carryover |
新型コロナウイルス感染症対策のため、オンラインにて会議を開催し、旅費の支出が計上されなかったため。次年度の調査研究費として充当する予定である。
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