2021 Fiscal Year Research-status Report
介護保険法・障害者総合支援法における私費利用の実態調査
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21K01977
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Research Institution | Kyoto Prefectural University |
Principal Investigator |
中根 成寿 京都府立大学, 公共政策学部, 准教授 (40425038)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
佐草 智久 尚絅大学短期大学部, その他部局等, 助教 (10848542)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 社会ケアサービス / 介護保険 / 私費利用 / 家政婦紹介所 |
Outline of Annual Research Achievements |
本プロジェクトは、1)中根による家政婦紹介所の調査票による定量調査と、2)佐草による九州・沖縄の家政婦の歴史・現状の質的調査により構成される。 この調査によって、現在の日本の家政婦・家政婦紹介所の役割と、介護保険制度が取りこぼした家庭生活における「社会化されざる行為」とその「経済的評価」が明らかにできるというのが本プロジェクトの趣旨である。 高齢者の在宅での生活の総体は介護保険サービスで支えられる部分と、それ以外の部分の私費で支えられる部分と、家族・ボランティアによる無償介護で構成される。このうち、介護保険サービスはその時間数、給付額などが毎月国保連を通じて集計されているが、家族の無償介護は時間計算、金銭換算がなされておらず、調査自体も質的調査にならざるを得ないため、本プロジェクトでは対象としていない。一方で私費サービスは、絶対量こそ少ないと予測されるが、日本の社会に長く根付いた家政婦紹介所が介護保険と並行してサービスを保険外で提供してることが佐草によって調査されている。だが、佐草のこれまでの調査は京都・沖縄・九州などの事業所に対する質的調査であったため、計量的な平均値(派遣時間・利用金額)などを把握するには別のアプローチが必要であった。 本プロジェクトは、家政婦紹介所の計量的実態把握にチャレンジするものであるが、調査対象者へのアプローチを巡って、研究参加者の認識をすり合わせるための作業に現在注力している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
研究初年度は家政婦紹介所のリスト作成、調査票の作成のための調査項目のリストアップ、調査票配布方法・回収方法について分担研究者と議論を行った。中根が調査票の下案を作成し、家政婦紹介所のフィールドワーク経験が豊富な佐草が用語や質問文の表現、家政婦紹介所の実態にあっているかどうかについて一文ずつ確認を行った。その結果、介護保険事業所とは日常的に利用されている用語が異なること、また家政婦紹介所の代表者は高齢の対象者が多く、また学術的な調査への参加経験も少ないことから、より平板な表現が好まれることなどが確認できた。現在、それらを踏まえ、質問紙の作成にあたっているところである。 加えて、佐草はこれまでの質的調査及び資料調査におけるデータの整理にあたり、それらの成果を、質問紙作成にあたって質問項目作成上の一助とした。 同時に日本看護家政紹介事業協会に加盟する紹介所の住所からリストを作成し、全国から約400箇所の紹介所の住所リストを作成した。
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Strategy for Future Research Activity |
2022年度前半には質問紙の作成を完了のうえ、家政婦紹介所にパイロット調査を行い、2022年度後半には調査票郵送業者を確定させ、2022年度中には調査を実施、業者からのデータセットの納入までこぎつけたい。そのうえ、可能であれば次年度の学会報告等での成果発表に向けて、分析を進めて行く予定である。
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Causes of Carryover |
2021年度には調査票郵送業者に見積をとった結果、2021年度に割当されている予算では不足することが明らかになった。これは申請段階での申請予算と実際の採択予算の間に差があったこと、また調査業者の見積もりが全体的に上がっていることも2021年度に予算不足に陥った原因である。 本研究は地方在住の佐草が調査への出張旅費を大きく見積もる予算構成であったが、2021年度新型コロナウイルス感染拡大の影響により出張自体が困難となったことから、予算の次年度繰越が生じた。加えて、2022年度より佐草の所属が変更になり、旅費の費用が減少する見込みになった。以上を背景に、当初の配分額を変更し、調査票郵送業者へ支払う費用を多く配分することで対応する予定である。
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