2023 Fiscal Year Research-status Report
認知症グループホームにおける入居者本人の看取りの意思決定支援モデルの開発
Project/Area Number |
21K01990
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Research Institution | Tohoku Bunkyo College |
Principal Investigator |
橋本 美香 東北文教大学, 人間科学部, 教授 (10537856)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
菊地 一穂 東北文教大学短期大学部, その他部局等, 准教授 (30537858)
南條 正人 仙台大学, 体育学部, 准教授 (70461720)
伊藤 就治 東北文教大学短期大学部, その他部局等, 助教 (30976949)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 認知症 / 意思決定支援 / 看取り / 認知症グループホーム |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、認知症グループホームにおける入居者本人の看取りの意思決定支援モデルを開発することである。2021年は認知症グループホームの全国調査から看取りの意思決定支援の実態を把握した。2022年は認知症グループホーム職員へのインタビュー調査から入居者本人の看取りの意思決定支援のあり方を明らかにした。2023年は地域の認知症支援者にインタビュー調査を実施し、看取りの意思決定支援に必要な要素を明らかにした。この結果に文献検討を加えて意思決定支援モデルを開発した。地域の認知症支援者9名の平均年齢は52.6(±12.2)歳、所有資格(複数回答)のうち国家資格は社会福祉士3名、看護師2名、保健師1名、介護福祉士4名、精神保健福祉士1名であり、認知症支援経験年数の平均は22.3(±12.0)年であった。認知症グループホームにおける入居者本人の看取りの意思決定支援に必要な要素として、「入退居を通した継続的な意向確認」「認知症の人の意向に沿った個別ケア」「地域の社会資源との情報共有」「十分な教育を受けた認知症支援者の協働」の4つのカテゴリが得られた。認知症施策推進大綱、意思決定支援ガイドライン等の文献検討を加えて開発した意思決定支援モデルは、認知症の人本人の意思を基軸としており、地域の社会資源とグループホームが入退居を通して連携し、入居者本人の意思の実現につなげるものであった。家族のレディネスによってはグループホームの退居に向けて、再度、地域にある社会資源を活用し、加えて、グループホームにおける生活情報の伝達とグループホームができる支援を継続するものであった。さらに、本意思決定支援モデルを認知症グループホーム2施設に適用し、有効性を検証するための介入調査を実施した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
認知症グループホームへの介入調査の時期と、新型コロナウィルス感染症拡大の時期と重なったため、作成した「認知症グループホームにおける入居者本人の看取りの意思決定支援モデル」の検証がやや遅れている。
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Strategy for Future Research Activity |
2024年度は認知症グループホーム2施設の介入調査で収集したデータを質的に分析する。データとは、入居者本人の看取りの意思決定支援についての職員との勉強会を通じて、職員の体験や考えを聞き取った内容、勉強会後のレポート等である。また意思決定支援モデルを入居者への看取りの意思決定支援として適用し、体験した内容についても職員から語ってもらった。収集したデータ分析後に、意思決定支援モデルに修正を加える予定である。 さらに、認知症グループホームの介護職員が、利用者の認知症グループホーム入居前の段階から、地域の認知症支援者とどのような連携を図っているのかに焦点を当て、認知症グループホームの全国調査を実施した。収集したデータは、日本認知症グループホーム協会に所属する施設のうち、各都道府県10施設の468施設(協会への所属数の関係上、1都道府県のみ8施設)に依頼し、回答があった90施設である(回収率19.2%)。このデータを分析し、意思決定支援モデルを検証し、修正を加える予定である。また、この調査においては、看取りの意思決定支援の実態に関して、認知症グループホームの管理者とそれ以外の介護職員による違いを明らかにするためのデータを収集した。収集したデータを分析し、意思決定支援モデルを検証し、修正を加える予定である。
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Causes of Carryover |
新型コロナウィルス感染症の拡大によって、介入調査に遅れが生じたため、研究全体の進捗状況が遅れた。そのため、認知症グループホームにおける入居者本人の看取りの意思決定支援モデルの検証部分の研究が次年度の実施となったため、次年度の使用額が生じた。
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