2023 Fiscal Year Annual Research Report
Empowerment oriented groups: From practice value to practice model.
Project/Area Number |
21K01996
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Research Institution | Tohoku Fukushi University |
Principal Investigator |
黒田 文 東北福祉大学, 総合福祉学部, 教授 (60368412)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 当事者の知 / エンパワメント / 構造的ソーシャルワーク / 専門知 / 知・パワー / 開かれた専門性 / 省察的実践 / ピアサポート活動 |
Outline of Annual Research Achievements |
当初本研究は当事者のグループ活動をフィールドに構想されたが、コロナ渦で研究枠組みを再考し、当事者活動の観察を通じて浮かび上がった「当事者の知とエンパワメント」というより広範な現象を研究の対象にすえ、研究を継続した。その過程で、「消費モデル」と「民主モデル」と呼べる当事者の知の潮流の台頭をふまえて、当事者の知とエンパワメントの関係を論じるに至った。「消費費モデル」における当事者は、サービス提供者や制度的援助専門職からはよきパートナーと位置づけられるが、「民主モデル」における当事者は、権利の対等性に立脚するカウンターとして位置づけられる。当事者の知にもとづく支援知識が拡大していくなかで当事者の知と制度的援助専門職の専門知のあり方が問題化され当事者の知と専門知の組み替えが試みられるのであれば、従来の当事者の知の有効性が認知されるだけでは十分ではないと考えられるため、両者の知に潜勢するパワーに対して互いがどう自覚的であり続けられるかをエンパワメントの視点から探求した。当事者の知に付随するパワーのポジショニングについては構造的ソーシャルワークの視点をエンパワメントに連携させて論考した。従来低く評価されてきた当事者の知を再評価して支援に組み入れるには、差異として現れている当事者の知の価値や特性を消去して専門知へ同化する方向を推進するのではなく、差異に対する積極的評価ならびに差異をつくりあげる基盤となっている概念やバックグラウンドを改めて問い直す作業が求められることを明らかにした。一連の研究成果は、ソーシャルワーク学会での報告(当事者の知の潮流に関する考察)ならびに日本社会福祉学会での報告(構造的ソーシャルワークとエンパワメントに関する考察)、日本社会福祉学会の学術機関誌の査読論文(当事者の知と制度的援助専門職者の知の運用に関する考察)に結実している。
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Remarks |
国内研究集会 「リカバリーカレッジを体験しよう:はじまりのセミナー」 開催年 2023年
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