2023 Fiscal Year Research-status Report
Construction of a comprehensive support model for community life that respects the wishes and the end-of-life care for frail old people in the community
Project/Area Number |
21K01998
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Research Institution | Tokyo University of Social Welfare |
Principal Investigator |
金 貞任 東京福祉大学, 社会福祉学部, 教授 (00364696)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
杉原 陽子 東京都立大学, 都市環境科学研究科, 教授 (80311405)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 要介護高齢者 / 意思尊重 / ACP / 生活総合型支援モデル / 過疎地域 / 家族介護者 / 看取りケア |
Outline of Annual Research Achievements |
介護や医療が必要な要介護高齢者は、人生の最終段階に健康状態が悪化する可能性が高いため、本人の意思を家族や親戚、友人や親しい地域住民に伝えることが難しい。本人の意思を家族介護者や子どもなどに伝えることができない場合は、家族や子どもが要介護高齢者の代わりに医療や介護を選択しなければならなく、その負担は非常に高い。そこで、過疎地域では抽象都市に比べ、私的・公的ネットワークが狭いが、ソーシャル・キャピタル(地域ネットワーク、信頼関係、互酬性)が高いことに着目し、要介護高齢者(以下、要介護高齢者)の意思が尊重されたケアと、地域で見守られ、地域で看取られる「地域生活総合型支援モデル」を構築することを目的とした。 本プロジェクトの目的を達成するために、①要介護高齢者や家族の介護状況を把握するために資料収集と分析を行った。②人生の最終段階を迎える要介護高齢者の意思尊重に関する尺度を作成した。③人生の最終段階を迎える要介護高齢者が本人の医療や介護をどのようにしたいか、どのように生きたいか、どのように本人の価値観を共有したいかなどに関する ACP(Advance Care Plaining;人生会議)は、医療従事者を対象とした尺度がほとんどであるため、家族介護者を対象とした人生会議の尺度を作成した。本プロジェクトの目的を達成するために、④調査員による訪問調査の手法の一つとして留置法により、過疎地域と中小都市に居住している要介護高齢者と同居の家族介護者を対象に量的調査を実施し、調査票の回収が終わった。⑤要介護高齢者と同居の家族介護者を対象にインターネット調査を実施した。⑥介護関係者を対象にインタビュー調査を実施した。 本プロジェックの実施により、要介護高齢者の意思が尊重される地域社会の風土が継承され、要介護高齢者の地域生活総合型支援モデルが普遍化されることが期待される。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本プロジェクトの目的は、家族介護者のACP(Advance Care Planning;人生会議)認知の普遍化、要介護高齢者の意思が尊重され、地域に見守られ、地域で看取られる「地域生活総合型支援モデル」を構築することである。その一環として、客観的な家族資源や地域の多様な資源との連携、主観的側面の地域社会のネットワーク、信頼、互酬からなるソーシャル・キャピタルが自宅の要介護高齢者が人生の最終段階を迎える時に有効であるかを科学的根拠に基づき証明することである。 本プロジェクトの目的を遂行するために、約3カ月に一度の頻度で研究会を開いた。1)要介護高齢者の介護サービスの利用実態に関する理論研究を行なった。2)介護と医療サービスとソーシャル・キャピタルに関する官公庁の資料の分析、3)要介護高齢者の意思表示の実態と意思尊厳に関する先行研究レビュー、家族介護者の意思尊厳尺度作成、4)要介護高齢者が最期を迎える時の医療や介護などに関する人生の会議(ACP, Advance Care Planning)の尺度を作成した。本研究の調査対象者は、介護が必要な要介護高齢者を家族の中で主に介護している家族介護者である。 調査地域は、群馬県A市とB過疎地域、静岡県A市であり、調査員(ケアマネジャー)による要介護高齢者の自宅訪問による留置法により量的調査を実施した。群馬県A市とB過疎地域、静岡県A市の家族介護者を対象に実施した量的調査票は、令和4年11月から令和5年度に全て回収した。家族介護者を対象にインターネット調査を実施し、調査票を回収した。インタビュー調査は、介護関係者を対象に実施したが、新型コロナ感染拡大の影響により要介護高齢者と家族介護者を対象としたインタビュー調査は延期となった。
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Strategy for Future Research Activity |
1)インタビュー調査を行う。新型コロナ感染拡大の影響により、自宅の家族介護者と要介護高齢者などを対象とするインタビュー調査は、難しくなり、令和6年度にインタビュー調査を実施する。調査対象者は、在宅単身要介護高齢者、要介護高齢者と同居の家族介護者、単身高齢者の別居家族、役場介護関係者、社会福祉協議会、介護・医療サービス従事者、民生委員などである。インタビュー内容は、①要介護高齢者の介護・医療ニーズとACP、②要介護高齢者への尊厳、③公的・私的サポート・ネットワーク状況、④ソーシ ャル・キャピタル(ネットワーク、信頼関係、互酬性)などから構成される。 2)量的データ分析:本年度は、過疎地域と中小都市にて要介護高齢者と同居の家族介護者を対象に量的調査を実施し、回収したデータの分析を行う。特に、調査対象の現状を把握し、家族介護者の要介護高齢者の意思尊重とACP尺度の検討を行い、要介護高齢者の人生の最終段階において意思が尊重される「地域生活総合型支援モデル」を構築し、報告書を作成する。 3)報告書作成と調査地域の関係者を対象に報告や説明会:要介護高齢者が地域で見守られ、地域で看取られる「地域生活総合型支援モデル」を構築し、報告書を作成する。調査地域の介護関係者を対象に調査結果の報告や説明会を行う予定である。 4)学術学会大会などでの報告:本年度は、量的調査を分析し、Nordic Congress of Gerontology、社会福祉学会大会、国際社会保障論壇などで報告する。 本年度は、本プロジェクトの最終年度であり、本研究の目的である要介護高齢者が住み慣れた地域で看取られる地域生活総合型支援モデルを構築する
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Causes of Carryover |
次年度使用額が生じた理由は、新型コロナ感染拡大の影響により、①インタビュー調査がスムーズにできなかったこと、②海外学会発表などができなかったこと、③報告書の作成と印刷、④量的調査員であるケアマネジャーを対象に説明会ができなかったためである。 次年度には、科研費を次のように使用する予定である。 ①要介護高齢者と家族介護者者を対象としたインタビュー調査の謝礼、インタビュー調査のテープ起こし、出張費などに使用する、②量的調査の分析を進めるために、コンピューターを購入する、③報告書の印刷代や量的調査を実施した地域の関係者を対象に調査結果の報告や説明会のための出張費のために使用する、④研究の結果を世の中に知らせるために国内・国外学会大会の出張のための使用する。 以上のように、次年度には、インタビュー調査、量的調査の分析のためのコンピュター購入、報告書印刷、国内外の学術学会大会への参加などのために相当な費用が必要であり、本年度の科研費で使用する予定である。
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