2022 Fiscal Year Research-status Report
Building a multi-layered conceptual model for social support to family home assistants
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21K02007
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Research Institution | Seirei Christopher University |
Principal Investigator |
入江 拓 聖隷クリストファー大学, 看護学部, 教授 (30267877)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | ファミリーホーム / 補助者 / 多層構造概念モデル / 語り / 要保護児童 / 負担感 / 感情労働 / 支援 |
Outline of Annual Research Achievements |
要保護児童と起居を共にする被験者である「ファミリーホーム」の施設管理者および、補助者と書面によるやり取りを重ね、補助者6名に承諾を頂いたが、2022年度はCOVID-19の感染拡大の影響に鑑み、インタビュー調査を見送った。並行して、Zoomによる事前打ち合わせを試み、この種のインタビューは被験者が要保護児童と起居を共にする現地に研究者が赴き、その共同体の文化の中で対面で行う方が安全であること、またその経験は、M-GTAでの分析に際して意味があるという感触を得た。 被験者が録音機を使用されることへの不安や、具体的な準備について尋ねてくるなど、事前打ち合わせの段階で、被験者のニーズ等多くの示唆を得ることができた。それに対応可能な備品の追加を行った。また、枠の緩いZoomでの雑談形式の打ち合わせで、事前にインタビューされることへの不安と構えが緩和されることに加え、生活者でもある被験者へのインタビューに際して、当初予定していた半構成的インタビューの再検討の必要性が明らかとなった。 ファミリーホームという共同体が内包する「養育上の限界」に関する変数に、「負担感」「自身の将来のキャリアへの漠然とした不安」「社会的認知の乏しさへの不満」「管理者や職員同士の人間関係」「要保護児童の特性や、顔触れの入れ替わりによる共同体内の力動の変化に対する不安」などが明らかとなり、雇用されている立場ゆえに、それらを安心して言葉にできないもどかしさと、その対処等、被験者が置かれている状況の理解に関する様々な示唆が得られた。 被験者が置かれている状況に沿う形での半構成インタビューの再検討のために、Zoom録画の承諾を得た被験者とのやり取りの内容及び、語りに通底するテーマについて「質的データ解析ソフトウェア」を補完的に使用し、大まかに把握したうえで、被験者に必要以上の負担をかけないインタビューへの準備をおこなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
ファミリーホーム(小規模住居型児童養育事業)において、要保護児童と共に起居(勤務)する被験者には内諾を得られたが、COVID-19の感染拡大の状況に鑑みた施設側の安全管理および、特に他県からの来訪者との接触の制限により、研究者が現地に出向いての長時間のインタビュー調査ができなかった。 当初Zoomなどによる遠隔でのインタビューも検討したが、研究の性質および、M-GTAの分析に資する良質のデータを得るためには、現地でに出向いて、その共同体の文化を肌で感じながら、生活者でもある補助者への対面によるインタビューが必要であることが明らかとなったため、半構成式インタビューの再検討に着手し、訪問の時期を、COVID-19が5類に移行する2023年5月以降に設定することとしたため、進捗がほぼ1年遅れている。
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Strategy for Future Research Activity |
書面で研究の概要、研究協力依頼書等をかわし、インタビューの承諾を得た被験者は6名。COVID-19が5類に移行した2023年度5月以降に、本格的なインタビュー調査に着手し、MGT-Aによる分析、啓発媒体の作成及び妥当性の検証を行う。進捗がCOVID-19により約1年遅れているため、研究期間の延長も視野に入れながら、貴重な語りの分析の成果発表等や、当事者への結果の還元および、内容の精選に丁寧に取り組みたい。
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Causes of Carryover |
COVID-19の感染拡大による施設の安全管理上の理由により、本研究の根幹をなす、被験者が勤務する「ファミリーホーム(小規模住居型児童養育事業施設)」に出向いてのインタビュー調査が、2023年度にずれ込んだため、2022年度に実施予定だった調査、成果発表のための学会参加等の旅費及び宿泊費への支出がなかったため。2022年度は、インタビューに向けて検討と準備を重ねることができたため、2023度より本格的な調査おおび、結果の分析、成果発表等を研究計画に従って実施し予算を執行する。
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