2021 Fiscal Year Research-status Report
介護職員として働きながら親を介護している多重介護者のストレスマネジメントの実際
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21K02018
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
本田 純久 長崎大学, 医歯薬学総合研究科(保健学科), 教授 (90244053)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
本田 歩美 聖マリア学院大学, 看護学部, 助教 (30732341)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 介護負担 / ストレス / 老年学 / 精神的健康 / 仕事と家庭における心理的葛藤 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、介護職員として働きながら親の介護もしている介護者を対象に、多重介護による心理的葛藤が介護者の仕事と生活に与える影響を明らかにするとともに、多重介護を担う労働者が、いかにストレスや負担を分散し、仕事と生活、介護を両立させているかを明らかにすることを目的とする。本研究から得られる成果は、多重介護を担う労働者の柔軟かつ多様な働き方と生活の実現(ワーク・ライフ・インテグレーション)に必要な要件を明らかにできる他、多重介護による離職を防止する施策提案につなげることができる。 本研究では、長崎県内の介護保険サービス(居宅介護サービスおよび施設介護サービス)事業所で働く介護職員1,000人を対象に、郵送法による自記式質問票調査を行う。調査項目は、1)対象者の基本属性:性別、年齢、婚姻状態、親の介護の有無、主観的健康状態、世帯構成、世帯年収。2)精神的健康状態 。3)仕事と家庭における心理的葛藤。4)介護が仕事に与えるネガティブな影響。5)勤務に関する項目:勤務している介護保険サービス事業所の種類、雇用形態、職種、職位、1週間あたりの勤務時間数(夜勤・残業時間を含む)、年収、就労ストレス。6)家庭における介護状況に関する項目:要介護高齢者の属性、居住環境、利用している介護サービスの種類と頻度、介護に対する家族のサポートの有無、1日の介護時間、介護負担。7)ストレスマネジメントに関する項目:介護サービスの利用することで得られるメリットと介護サービスの利用に伴う調整労力および負担、勤務調整と収入減少の有無、ストレスコーピング機能、に関する項目である。2021年度において調査に用いる質問票は完成しており、長崎大学大学院医歯薬学総合研究科(保健学系)倫理委員会において、研究の実施について承認を得た。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
現在までに、調査に用いる質問票の作成が完了し、令和4年3月に開催された長崎大学大学院医歯薬学総合研究科(保健学系)倫理委員会において、研究実施の許可を得た(承認番号22031007)。同時に、質問票の印刷と調査への協力を依頼する施設の連絡先等の整理を行っており、令和4年度の調査の実施に向けて準備を進めている。
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Strategy for Future Research Activity |
2022年度に郵送法による質問紙調査を行い、解析のためのデータベースの作成と集計および統計解析を行う。2023年度には、さらに詳細な解析を行い、同時に国内、国外での学会発表および論文の執筆を行う計画である。 なお、研究体制として、研究代表者(本田純久)はデータの量的解析を担当し、研究分担者(本田歩美)は老年看護学的視点から分析データの解釈と考察を担当する。また、米国ユタ州立大学の2名の研究協力者は、これまで数多くの介護研究を行っている心理学者であり、本研究の成果を最大限に引き出すため、研究分担者および研究協力者とともにZoomによる研究打ち合わせを行う他、論文の執筆および学術大会での研究成果の発表に際して心理学的視点からの考察を得る。
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Causes of Carryover |
2021年度内に、調査に用いる質問票の作成と倫理審査委員会での研究実施の承認、質問票の印刷までを前倒しで行う予定で、2022年度の予算額のうち20万円を前倒し請求したが、質問票の印刷を2021年度内に行うことはできなかった。研究自体は概ね当初の予定通りに進捗しており、2022年度は質問票の印刷と郵送調査の実施、回収した質問票のデータ入力、集計、統計解析までを行う予定であり、当該助成金を印刷費、郵送費、データ入力および資料整理のための人件費として使用する計画である。
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