2022 Fiscal Year Research-status Report
小・中学生の不登校に対する大学生・大学院生によるアウトリーチ・プログラムの開発
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21K02022
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Research Institution | Tokyo Metropolitan University |
Principal Investigator |
木村 千里 東京都立大学, 人間健康科学研究科, 准教授 (60520765)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
武用 百子 大阪大学, 大学院医学系研究科, 教授 (00290487)
室田 信一 東京都立大学, 人文科学研究科, 准教授 (00632853)
伊藤 祐子 東京都立大学, 人間健康科学研究科, 教授 (60289973)
園部 真美 東京都立大学, 人間健康科学研究科, 准教授 (70347821)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 子育て支援 / 不登校 / 小中学生 / 官学民協働 / 大学生 / アウトリーチ / 家族支援 |
Outline of Annual Research Achievements |
活動歴6年目の東京都内Y地区の協働的子育て支援において大学(院)生を活用したアウトリーチプログラムを検討・開発した。子どもと家族に対応し、大学生ボランティアのコーディネート経験があるコミュニティのチャンピオンである研究協力者、研究分担者とともにトレーニング・プログラムを決定し、大学生、地域住民、コミュニティの子どもの支援者を対象として1日のプログラムを提供した。プログラムの内容は【ソ-シャルファミリーの創生】、【不登校の子どものアウトリ-チ活動経験:大学生の語り】、【親の語り】、【不登校の動向と政策】、【子どもの権利条約】、【不登校・ひきこもりの原因と支援・子どもの発達特性】、【不登校の子どもと家族の支援:寄り添いと傾聴】、【危機管理と倫理的対応】、【アウトリ-チスタッフ登録について】であった。 トレーニング・プログラム受講後の大学生ボランティアにはフィールドワークの機会を提供し、東京都内Y地区の子ども支援機関のデイケア、ネットワーク会議、Y地区の子ども・子育て会議に任意で参加してもらい、関与する活動と子どもを取り巻く社会的環境、政策との関わりについて考察を促した。併行して、研究者等はY地区の子ども支援機関の代表者が参集する活動報告会や事例検討会に参加し、協働的子育て支援のための関係性構築に努めた。2022年度後半にY地区を管轄する自治体の議会定例会において議員提出議案として子どもの権利条例が可決され、ほぼ同時期に上記の大学生ボランティアを中心として、若者世代による子育て支援の学習会開催を端緒としてキャンパス内に子ども支援サークルが設立されるに至った。以上のように不登校などの生きづらさを経験している子どものための学官民による協働的子育て支援プログラムを展開するための基盤整備を完了した。さらに、研究協力者との討議を経て、個別支援票・大学生ボランティアのワークフローを作成した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
多様なレベルで危機的状況にある、あるいは慢性的に支援を必要としている家族を支援するための非公式および公式な支援の基盤を確立することに時間を要した。また、現地視察の段階で、対象となる人々、統治構造、ボランティアの役割、データ基盤、ボランティアの調整と管理など、具体的な介入要素を理解することに時間を要したため。
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Strategy for Future Research Activity |
現地での適用可能性として、不登校の子どもに対する学官民協働的子育て支援プログラムを本格的に開始する前に短期間の試験運用を行い、大学生ボランティアをコミュニティの子育て支援機関や自治体による既存のプロセスに統合し、子どもと家族の満たされていない社会的ニーズに対応することの実現可能性を評価する。実現可能性の評価にはコミュニティのチャンピオンである研究協力者との面会後、大学生ボランティアによるフォローアップに同意した子どもと家族の割合、大学生ボランティアが対応した子どもと家族の割合、支援機関代表者で研究協力者でもあるチャンピオンへのエスカレーションなしに大学生ボランティアが管理できた子どもと家族の割合、学生によるヒューリスティック・インクワイアリー・データを含むこととする。また、大学生ボランティアのフォローやチャンピオンが介在する他の支援者・支援機関への紹介、コミュニティ資源を活用することに対する子どもと家族の認識などの[短期的アウトカム]、子どもと家族がコミュニティ基盤の資源活用の推移(増加)、学生のボランティア経験に基づく専門職参入前のコンピテンシーが改善するなどの[長期的アウトカム]についても検討する予定である。
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Causes of Carryover |
新型コロナウイルス(COVID-19)感染症の拡大により相当数の研究対象者の参加が見込まれたワークショップやトレーニングプログラムを予定した回数で開催しなかったこと、フォーカスグループインタビューを実施しなかったことによって、研究対象者への謝礼や支援機関ゲートキーパーへの謝礼が発生しなかったことやインタビューデータのトランスクリプト作成を業者に委託しなかったことで次年度使用額が発生したものと考える。 新型コロナウイルス感染症の5類感染症移行後は、一年度当たりに複数回のワークショップの開催が可能となるうえ、データ収集の際の謝礼や分析に関わる費用が発生する見込みで進める計画である。
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