2022 Fiscal Year Research-status Report
Patterns of Long-term Care Responsibility: Mixtures of Public Care Services and Informal Caring
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21K02029
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Research Institution | Higashi Nippon International University |
Principal Investigator |
西野 勇人 東日本国際大学, 健康福祉学部, 講師 (70845768)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 社会保障 / 高齢者介護 / 家族介護 / 公的介護サービス |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、高齢者介護におけるケアの提供主体が、どのような構造・パターンで機能しているかを、国内外の量的調査のデータから明らかにすることである。今年度は、海外の高齢者向け調査のパネルデータを分析し、成人子から老親への家族介護の発生パターンと、老親側の公的介護サービスの利用状況、また国レベルでのサービス整備状況との関連を分析した。 分析の結果、次の2点が明らかになった。1点目は、個人レベルでみると、在宅型の公的サービス利用は、子による介護提供に対しても、家事的援助のみの援助提供に対しても、どちらに対してもプラスの関連性がみられた。2点目に、国レベルでみると、施設入所型のサービスが比較的普及している国では、子どもが親に対して身体介護を提供する確率は相対的に低いという特徴があることが明らかになった。 以上の分析結果から、公的サービスが家族による介護負担を代替する機能は、在宅サービスよりも施設入所型のサービスの方がより顕著に発揮できると考えられる。また同時に、国レベルでの施設型のサービスの充実度は、家事的な側面のみでの援助関係とは関連がみられなかったことから、施設型のサービスが充実している国では子による身体介護の発生は抑制するものの、家事援助のみの援助といった、周辺的な支援の発生は抑制していないことがうかがえる。このことは、公的サービスによる家族介護負担の減少が、家族内の紐帯を弱めることを意味するわけではない可能性を示唆していると考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
今年度は海外の高齢者向け調査のデータを分析し、親子間介護の発生パターンの分析を行った。分析は概ね終了したが、分析結果の公表までは至っておらず、今後、論文の公表準備を進める。
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Strategy for Future Research Activity |
引き続き、各種の社会調査データの二次分析を進める。今後は、日本における高齢者向け調査のパネルデータを分析し、高齢者が公的介護サービスを利用する場合の、居宅サービスと施設サービスの選択プロセスの分析を進める。
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Causes of Carryover |
文献レビューや成果の執筆が遅れており、その過程で利用する資料購入費が一部未使用となった。次年度以降も文献調査は継続して行うため、必要な経費は次年度に使用する予定である。
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