2023 Fiscal Year Research-status Report
Patterns of Long-term Care Responsibility: Mixtures of Public Care Services and Informal Caring
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21K02029
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Research Institution | Higashi Nippon International University |
Principal Investigator |
西野 勇人 東日本国際大学, 健康福祉学部, 講師 (70845768)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 社会保障 / 高齢者介護 / 家族介護 / 公的介護サービス |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、介護保険などの公的ケアと、家族介護をはじめとする私的ケアがどのようなバランスで成立しているのかを明らかにすることである。本年度は、国際比較と歴史記述の側面から日本の高齢者介護政策の特徴について整理した上で、これまで行ってきたデータ分析の結果をまとめながら、日本の高齢者福祉政策と親子間の援助のあり方がどのように関連しているか分析した。 まず、他国の制度との比較と、国内の高齢者福祉の歴史的記述を通じて、日本の高齢者介護政策の現状と特徴を整理した。その結果、日本の制度の特徴は家族補完型サービス中心の家族主義としての特徴を有していることを論じた。 続いて、日本と欧州の社会調査データを用いた分析をそれぞれ行い、両者の結果を比較した。分析の結果、在宅サービスと家族介護の補完関係が明らかになった。要介護高齢者が在宅サービスを利用する場合、その子どもは、利用しない要介護高齢者の子どもと比べ、親に対して身体介護を提供する確率は高い。この点は日本とヨーロッパ諸国に共通していた。しかし、ヨーロッパにおいては、在宅サービスの利用が、身体介護を伴わない家事的援助のみを提供するような援助ともプラスの相関関係があったのに対し、日本においては、公的サービス利用とそのような「軽い負担」の援助は、代替関係にも補完関係にもなっていなかった。さらに、施設サービスが十分に供給されている国の場合は、子が親に身体介護を提供する確率が低かった。全体としては、介護労働の脱家族化は、在宅サービスではなく施設サービスによって担われることが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
一部のデータ分析と成果執筆が完了していないため、今後も適宜、分析と執筆を進める。
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Strategy for Future Research Activity |
引き続き、各種の社会調査データの分析を進める。今後は、日本における中高年向け調査のデータを分析し、高齢者が公的介護サービスを利用する場合の、居宅サービスと施設サービスの選択プロセスの分析を進める。
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Causes of Carryover |
一部の分析や成果の執筆が遅れており、その過程で利用する資料購入費および執筆用の諸費用が一部未使用となった。次年度は追加の分析を行いながら成果執筆を行う過程で、必要な経費を使用する予定である。
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