2022 Fiscal Year Research-status Report
「こころのケア専門家」が参加するエンドオブライフ・ケアの有用性に関する研究
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21K02045
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
笹山 哲 京都大学, 医学研究科, 准教授 (90215749)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
野本 愼一 京都大学, 医学研究科, 名誉教授 (00172825)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | こころのケア専門家 / スピリチュアルペイン / 電子連絡ノート / 在宅医療 / 情報共有システム |
Outline of Annual Research Achievements |
新型コロナの影響により、各医療機関はいろいろな対応に迫られながら日常業務を遂行している。そのため、こころのケアやスピリチュアルペインといった全人的なケアの深度を高めることが難しい状況があった。研究者らによる先行研究ではコロナの影響を避けるために、「こころのケア専門家」の傾聴の場を在宅の代替として外来診療時に医療機関の相談室を利用して行ったが、残念ながら傾聴の深度を高めるにいたらなかった。 よって本年度も初年度に引き続き、情報共有システムとしての「電子連絡ノート」アプリケーションの機能について先行して検討を行った。現状では、患者・家族を含め全スタッフ間で情報を共有するという完全にフラットなシステムである「電子連絡ノート」を改良して、「こころのケア専門家」が傾聴した内容(心のケア情報)を必要な時に必要な人とだけ共有できる仕分けシステムを構築する手法・仕組みについての検討を行った。 さらに、患者本人、家族、「こころのケア専門家」、他の多職種それぞれのプライバシーと信頼関係に配慮するため、各々の心のケア情報については、「こころのケア専門家」をアクセス権のプライマリー管理者とする仕組みについても検討を行とともに、「こころのケア専門家」および患者・家族のコメントやメッセージ等のテキスト情報をクラスター分析や機械学習に供するための仕組みについての検討を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
新型コロナの影響により、各医療機関はいろいろな対応に迫られながら日常業務を遂行しているため、こころのケアやスピリチュアルペインといった全人的なケアの深度を高めることが難しい状況があった。 日本においては新型コロナが2類相当の感染症か5類へ移行することで、ようやく本来の在宅の場で研究を実施可能な状況が得られると考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
改良版「電子連絡ノート」の有用性の検討を、在宅で看取りまで熱心に行っている3つの医療機関と2名の「こころのケア専門家」の協力を得て実施する。 活用状況について、患者、家族、在宅チーム、「こころのケア専門家」への質問紙及び面接調査を行い、面接調査はM-GTAを用いて分析し、さらに患者・家族の精神的健康状態をWHO-5 精神的健康状態表を用いて分析する。情報共有システムに記録されたログ・コメント等の基本統計量について統計分析するとともに、投入した医療資源の量を調査し、量的及び質的研究の手法を併用して「電子連絡ノート」活用の有効性を検証する。 「こころのケア専門家」および患者・家族のコメントやメッセージ等のテキスト情報は、クラスター分析等を行うとともに、機械学習プログラムを用いた、テキスト分類(教師あり学習)およびトピックモデル等を用いたテキスト分析(教師なし学習)を行うことにより、「こころのケア専門家」入力情報の秘匿度設定の自動化や患者・家族の苦悩の分類・分析に役立てる予定である。
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Causes of Carryover |
新型コロナの影響により、各医療機関はいろいろな対応に迫られながら日常業務を遂行している。そのため、こころのケアやスピリチュアルペインといった全人的なケアの深度を高めることが難しい状況があった。 よって本年度は初年度に引き続き、情報共有システムとしての「電子連絡ノート」アプリケーションの機能について先行して検討を行ったため。
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