2021 Fiscal Year Research-status Report
失語症者の実用的コミュニケーション能力に着目した支援プログラムの開発と活用
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21K02047
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Research Institution | Prefectural University of Hiroshima |
Principal Investigator |
坊岡 峰子 県立広島大学, 保健福祉学部(三原キャンパス), 教授 (80405521)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 失語症 / 実用的コミュニケーション / コミュニケーション支援 / 実用コミュニケーション能力評価 / 拡大代替コミュニケーション(AAC) / コミュニケーション能力評価アプリ |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、言語機能の完全な回復が難しい失語症者の、日常的なコミュニケーションを支援することを目的に、拡大代替コミュニケ-ション(Augmentative and Alternative Communication、AAC)能力に焦点をあてた「失語症者の実用的コミュニケーション支援プログラム」を開発し、実践的効果を検証することである。 初年度である令和3年度は、検査の目的である、失語症に関する実用的コミュニケーション能力の評価に関する先行研究などを行った。その結果、なるべく簡易にかつ、実生活に近い状況での非言語を含むコミュニケーション能力を評価できる内容が必要であると考えた。現在、既存の検査では、実用的コミュニケーション能力検査(CADL)があるが、検査内容が現代の生活様式にあわなくなってきていること、用具が実物で大がかりであることなどから、改定版を作成していく予定である。 そこで、CADL検査の原版作成者であるHolland.A.の学会での発表を聞いたり、日本語版(初版)の代表者である本学の綿森淑子名誉教授とも、研究計画のすすめ方などを検討してきた。当初の計画では、CADLの試作版を作成し、実際に失語症者に協力して頂き試行する予定であったが、コロナ禍において対面でのデータ収集は延期することとした。 上記の状況なども踏まえ、まずは臨床現場での初版の活用の実態を把握し、さらに言語聴覚士が考える、実用的なコミュニケーション能力を知りたい場面やその方法なども把握するため、アンケート調査は実施する予定である。更に、研究協力者である、島根大学理工学研究科の廣富哲也准教授とも検討した結果、検査のアプリ化もすすめていく予定となっている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
文献などによる先行研究は予定通り進めることができているが、コロナ禍において、本学の活動基準などにより、県外の移動が制限される中、研究協力者などと、検査道具の現物や海外の実物(図版)を共同で見ながら検討するということが難しい状況で、対面での検討は1度しか実現できなかった。
さらに、本学の附属診療センターにおいても、失語症の方など患者さんの来診、特にパーテーションなどを使用せずに実施する、データ収集は協力者の負担も勘案し、実施は難しい状況であった。
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Strategy for Future Research Activity |
昨年度の先行研究や研究協力者との検討を行った今後の研究のすすめ方に従い、まずアンケートにより、臨床現場における、失語症者の実用的コミュニケーション能力評価の現状を把握する。さらに、今後の評価法の開発に向け、期待する評価内容や方法などに関する情報も収集し、主に「実用的コミュニケーション能力検査(CADL)」の改定版を検討していく。 改定版は図版に併せアプリ化も進めていく予定である。 今年度は、図版とアプリ版の試作をすすめ、まずは本学で本コースの教員が附属センターで担当する患者さんを対象に、データ収集を行う予定である。但し、感染状況により、対象者の不安や負担を勘案しながらすすめていく。
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Causes of Carryover |
当該年度には、コロナ禍の影響により、本学の活動基準による県外移動などに制限がかかる状況であり、研究協力者と対面で具体的な研究の検討をすすめることが出来ず、検査に用いる図版やアプリの開発もすすめることが出来なかった。 また、本学の活動基準により、附属診療センターにおいて、実際に失語症の方々に対面で、検査データを収集することも困難であった。 そのため、本年度はまず臨床現場での実態把握などを目的にアンケ-ト調査を行い、並行してオンラインで、研究協力者とできる範囲で検査用具の試作をすすめ、感染状況をみながら、データ収集をすすめていく予定である。
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