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2021 Fiscal Year Research-status Report

外国人介護人材に対する日本の社会制度の理解促進教材の開発研究

Research Project

Project/Area Number 21K02049
Research InstitutionTohoku Fukushi University

Principal Investigator

二渡 努  東北福祉大学, 総合福祉学部, 講師 (80849224)

Project Period (FY) 2021-04-01 – 2024-03-31
Keywords外国人介護人材 / 介護教育 / 学習支援 / 教材開発 / 介護福祉士国家試験
Outline of Annual Research Achievements

現在、我が国の介護分野において外国人介護人材の活用が進められており、EPA(経済連携協定)、在留資格「介護」、技能実習制度、特定技能と外国人介護人材の受入れスキームは多様となった。それに伴い、外国人介護人材を対象とした学習教材は整備されてきているが、その内容は日本語と介護技術に関する学習が中心であり、我が国の社会制度に関する学習を進める教材は未整備の現状にある。
研究開始初年度となる今年度は、外国人介護職員が日本の社会制度に関する理解を促進できる学習教材の開発に向けて、外国人介護人材を対象とした教材の分析と、介護施設と介護福祉士養成施設にインタビュー調査を実施し、各在留資格の教育の現状と工夫、課題を明らかにした。
その結果、技能実習生や特定技能等、介護福祉士の取得を目的としない在留資格で就労する外国人介護人材は、介護保険法令等で規定されている日本の介護実践に必要な自立支援や尊厳の保持、虐待防止や身体拘束の禁止等に関して就労開始前までに学習するものの、就労開始後は日本語能力の習得と日々の介護業務の遂行に必要な介護技術の習得の優先度が高く、日本の社会制度に関する学習に取り組むことは難しい実態が明らかとなった。
また、介護福祉士取得を目的とする介護福祉士養成施設の留学生は介護保険制度をはじめとする日本の社会制度に関する学習に困難を感じており、技能実習や特定技能で就労する外国人介護職員についても、在留資格「介護」への移行を目指す場合は、介護福祉士の取得が必要となるため、初任者研修や実務者研修の修了、介護福祉士国家試験対策の学習が必要となるが、現行のテキストではその内容の理解は難しく、外国人介護人材の各人材層に応じた日本の社会制度に対する学習教材の整備が必要されている現状が明らかとなった。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.

Reason

我が国の介護分野における外国人介護人材の受入れスキームは多様となったが、それぞれの制度趣旨は異なるため、外国人介護人材への学習教材の作成に当たっては、それぞれの受入れスキームの教育ニーズを把握する必要がある。
介護福祉士養成施設と介護施設へのインタビュー調査から、留学生が介護福祉士を取得することの困難さに加えて、技能実習制度と特定技能の者が介護福祉士の資格取得を希望する場合、日本の社会制度を始めとする学習の困難な状況が明らかとなった。その背景としては、2020年より在留資格「介護」の対象が実務経験ルートに拡大されたことから、技能実習制度と特定技能も、介護福祉士の取得を条件に、在留資格で定められた期間を超えて就労することが可能となり、介護福祉士取得のニーズが高まったことが挙げられる。特定技能は、新型コロナウイルス感染症の影響により、他職種で技能実習を継続することができなくなった者など、他業種から介護分野に参入している者も多く、就労開始後、一定期間は日本語学習と介護技術の習得に主眼が置かれ、社会制度に関する学習を行う優先順位が低い現状が明らかとなった。また、介護福祉士の受験に必要な初任者研修、実務者研修において、外国人介護職員向けの教材は未整備であり、教育ニーズが高い現状が明らかとなった。これにより、外国人介護人材の更なる活用に当たっては、それぞれの外国人介護人材の人材層に応じた学習教材を開発する必要が明らかとなった。
このように、介護施設、介護福祉士養成施設に対するインタビュー調査と、外国人介護人材に関する教材分析を通して、外国人介護人材に対する日本の社会制度に関する教育ニーズと教育の実態、教育上の留意点について一定の知見が得られたため、本研究は概ね順調に推移していると判断できる。

Strategy for Future Research Activity

研究開始初年度のインタビュー調査を通して収集した外国人介護人材に対する教育の現状と、外国人に配慮した教材作成の工夫点を踏まえ、研究2年目は外国人介護人材が我が国の社会制度の理解を促進できる教材開発を行う。
現在、介護分野では限られた人材を効率的、効果的に活用する機能分化が進められており、この観点からも、受入れスキームが多様となった外国人介護職員に対して各人材層に応じた教育プログラムの設定が重要であり、各スキームの趣旨や、外国人介護職員の意向に沿った教育プログラムを整備することが必要である。介護分野の就労開始前では、就労開始直後から必要とされる自立支援や尊厳の保持の考え方、虐待防止や身体拘束の禁止等の内容を学習が必要とされるように、各人材層に応じた教育プログラムを作成する必要がある。このように、就労開始直後、初任者研修、実務者研修と介護福祉士国家試験の各段階で求められる日本の社会制度に関する知識について段階的、網羅的に日本の社会制度に関する理解を促進できる教材の開発を行う。
なお、介護福祉士国家試験では、単純な知識の想起によって解答できるタクソノミーⅠ型の問題だけでなく、設問で与えられた情報を理解・解釈してその結果に基づいて解答するタクソノミーⅡ型の問題や、理解している知識を応用して具体的な問題解決を求めるタクソノミーⅢ型の問題を出題することが示されている。これを受け、単なる暗記にとどまらず、日々の介護実践で活用、応用できる思考力、実践力を養うことのできる教材の開発に取り組む。
また、作成した教材の効果を検証すべく、作成した教材を用いて外国人介護人材に対する教育を行い、その教育効果を検証することで、教材の改善点を把握し、更なる内容の質の向上を図る。

Causes of Carryover

介護施設や養成施設を訪問してインタビューを行う予定であったが、新型コロナウイルス感染症の拡大により、訪問することが難しくなり、旅費に計上していた金額を使用する機会がなかった。今年度は教材作成を行う予定であるため、次年度使用額を、教材作成費と旅費に充てる予定である。

URL: 

Published: 2022-12-28  

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