2021 Fiscal Year Research-status Report
FBGセンサを挿入した生体情報を計測可能な繊維製品の装着法の最適化
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21K02072
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Research Institution | Shinshu University |
Principal Investigator |
児山 祥平 信州大学, 学術研究院繊維学系, 助教 (30777818)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | FBGセンサ / 脈動ひずみ / スマートテキスタイル |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は「FBGセンサの生体への設置圧力と計測される信号の大きさの関係の検証」について実施した.FBGセンサを被験者の橈骨動脈点に設置するとともに,FBGセンサと干渉しない隣の部分に小型圧力センサを設置した.両センサを手首に押し付けるように他方の手の指で押し込むことでFBGセンサの設置圧力をかけながら脈動ひずみ信号を計測した. このとき,設置圧力が小さい場合には脈動ひずみ信号のピークが縦軸方向において+側(上向き)の信号が計測され,圧力が大きくなるにつれて信号ピークが長くなることが示された.しかし,さらに圧力を大きくすると信号ピーク長さが減少して消失してしまい,その後は縦軸方向において-側(下向き)の信号が計測された.以上より,FBGセンサの設置圧力によって計測される信号形状が大きく影響することが示された. この原因として,脈動時にかかるひずみの大きさと信号のベースラインとなる設置圧力の関係が考察された.上向きの信号とはベースラインよりも脈動時にかかるピーク点が大きいことを示し,言い換えると設置圧力よりも脈動時にかかるひずみが大きいこととなる.一方,設置圧力が大きい場合には設置している時点でFBGセンサがひずんだ状態となるためにベースラインが上昇し,設置圧力が大きいことで動脈が生体内部方向に沈められるため脈動ひずみの大きさ自体も小さくなる.以上より,FBGセンサを設置する際には最適な圧力値が存在することが明らかとなった. この最適設置圧力値を調査するために,同様の実験において設置圧力を0, 5, 10, 15, 20 kPaの5条件で6名の被験者について検証した.その結果,10-15 kPaで最もピーク長さが長くなる信号計測される傾向が示された.これは,収縮期血圧値に近い結果であり,最適設置圧力値は収縮期血圧と関係していると考察された.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
いくつかの実験テーマが存在する中で,その基本となる設置圧力について「最適な設置圧力値が存在すること」および「最適設置圧力値は収縮期血圧と関係している」ことが考察されたことは,今後の実験において統一的な実験条件の一つとなる.現在はこの関係性をより明確にするために被験者の増加や設置圧力を細分化した実験も進めている. また,他の計測実験テーマである「各手首状態における脈動のひずみを検知可能な範囲の検証」についても実験機器を揃え基礎的な実験を進めている. 以上より,初年度においては「おおむね順調に進展している」と判断した.
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Strategy for Future Research Activity |
今後は,最適設置圧力において計測された脈動信号の最長ピーク長さと収縮期血圧との関係性の明確化および被験者増加による個人差の影響について検証する.また,橈骨動脈に付す数のFBGセンサを設置して同時に計測することで,脈動ひずみを検知可能な範囲を検証するとともに,設置位置と脈動ひずみ信号形状の関係性を検証する.検知可能な範囲の検証が一通り実施できた際には,手首を曲げ・ひねり・反らしなど様々な状態で検証するとともに,超音波断層画像計測装置も使用して生体内部方向(FBGセンサに対するZ軸方向)のパラメータも加えて,詳細な結果を求めていくこととなる.
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