2021 Fiscal Year Research-status Report
机うつぶせ寝枕使用の午睡を取り入れた高校生版睡眠教育プログラムの開発と検証
Project/Area Number |
21K02077
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Research Institution | Komatsu University |
Principal Investigator |
中島 素子 公立小松大学, 保健医療学部, 教授 (60559508)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
池田 美智子 公立小松大学, 保健医療学部, 助教 (60827129)
伊藤 尚子 公立小松大学, 保健医療学部, 講師 (80456681)
櫻井 勝 金沢医科大学, 医学部, 准教授 (90397216)
平山 順 公立小松大学, 保健医療学部, 教授 (90510363)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 高校生 / 睡眠習慣 / 3次元型睡眠尺度 / 生活習慣 / 心と体の不調 / 昼休みの15分午睡 |
Outline of Annual Research Achievements |
高校生の日常生活は学校の授業・補講や部活動,受験勉強,塾通い,友達との交際などの社会的要因,テレビやゲーム,情報機器(インターネット,スマートフォンなど)の長時間接触による環境要因などで,睡眠時間の短縮は顕著であり,そのことから日中の眠気,心身の不調を招き,結果として学業への悪影響をもたらすと考えられる. そこで本研究は研究協力が得られた近隣の進学高校の高校生952名を対象として,睡眠と生活習慣や心と体の不調とのかかわりについて調査する. 調査内容は信頼性・妥当性が検証さている睡眠の位相(リズム)・質・量を測る3次元型睡眠尺度による睡眠習慣(睡眠時間・就寝時間,起床時間,入眠時間,途中覚醒,熟眠感,睡眠不安,起床時の疲労感,夕方の眠気,午後の授業中の居眠りなど),および生活習慣(朝型か夜型か,朝食摂取状況,就寝直前までのIT使用状況),心と体の不調(気分の落ち込み,イラっとすることがある,立ち眩みや眩暈,倦怠感,よく頭痛あり,消化器症状)とし,6時間未満睡眠が生活習慣や心や体の不調にどのように関連するかを検討する. また,同フィールドの1学年全員を対象として,午後の覚醒水準の上昇の改善,疲労感を抑える効果があるとされている15分以内の午睡を昼休み時間内に取り入れた睡眠教育プログラムを学校医参画のもと実施する.そのプログラムによって睡眠習慣,生活習慣,心と体の不調がどのように変化するかを,プログラム実施1か月後・1年後・2年後と追跡調査する.その評価指標の変動を集団及びレコードリンケージによる個人の両面から観察し,本プログラムの有効性を検討する.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2021年7月にA高校の全校生徒952名を対象に,自記式調査票調査を実施した.調査内容は,睡眠習慣(睡眠時間・就寝時間,起床時間,入眠時間,途中覚醒,熟眠感,睡眠不安,起床時の疲労感,夕方の眠気,午後の授業中の居眠り),生活習慣(朝型か夜型か,朝食摂取状況,就寝直前までのIT使用),心と体の不調(気分の落ち込み,イラっとすることがある,立ち眩みや眩暈,倦怠感,よく頭痛あり,消化器症状)とした.各選択肢に対して「とても当てはまる」「やや当てはまる」と回答した者を「はい」,「あまり当てはまらない」「全く当てはまらない」を「いいえ」と二分した.「睡眠6時間未満である」の問いに「はい」の回答者と「それ以外」の回答者とで各質問への回答を学年別で層化し解析を行った.統計解析は割合の比較χ2検定を用いた. 【結果】952名中,有効回答者941名(98.8%)であった.睡眠6時間未満の者は,1学年61名(19.2%),2学年56名(17.7%),3学年71名(23.1%)であった.睡眠6時間未満の者と,生活習慣との関連では,1,2学年で「朝型である」,1学年で「就寝直前までのIT使用」が多かった.睡眠状況との関連では,全学年で「12時以降に寝る」,1,2学年で「熟眠感なし」,「起床時の疲労感」,「午後の居眠り」,1,3学年で「睡眠不足感」,1学年のみで「途中覚醒」,「夕方の眠気」が多かった.心や体の不調との関連では,全学年で「立ち眩みや眩暈」,1,2学年で「倦怠感」,「頭痛」,1,3学年で「気分の落ち込み」,1学年で「イラっとすることあり」を訴えるものが多かった. 【まとめ】睡眠6時間未満は心と体の両方に影響を及ぼしており,学年ごとにその影響が異なった.そのことから睡眠は自律神経系を介して心と体の双方に影響しているのではないかと推察され,学年の特徴に応じた睡眠衛生教育の必要性が示唆された.
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Strategy for Future Research Activity |
これまでの基礎調査である睡眠習慣(睡眠時間・就寝時間,起床時間,入眠時間,途中覚醒,熟眠感,睡眠不安,起床時の疲労感,夕方の眠気,午後の授業中の居眠りなど),および生活習慣(朝型か夜型か,朝食摂取状況,就寝直前までのIT使用状況),心と体の不調(気分の落ち込み,イラっとすることがある,立ち眩みや眩暈,倦怠感,よく頭痛あり,消化器症状)の解析を実施し,睡眠が心や体の不調にどのように関連するかを検討した. 今後は「睡眠教育プログラム」として,① 睡眠のメカニズム・睡眠の機能・睡眠が心身に及ぼす影響・賢い睡眠術・情報機器の使い方 ② 短時間午睡の有用性と「お昼寝枕を使用した15分以内の午睡」を学校医参画のもと実施する. 睡眠教育プログラムによって睡眠習慣,生活習慣,心と体の不調がどのように変化するかを,教育1か月後・1年後・2年後と追跡調査し,評価指標の集団の検討及びレコードリンケージによる個人の変動を観察し,本プログラムの有効性を検討する. ただし,学年全員を集めての教育や,調査については新型コロナ感染症拡大の影響を受ける可能性があり,今後慎重に遂行したいと考える.
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Causes of Carryover |
2021年度は新型コロナ感染症のため、直接出向いての調査ができず,モバイル機器(スマートホン)で調査を実施したため,入力費が大幅に減額となった.またデータベースの構築費も使用しなかった. 2021年度に使用しなかった入力費やデータベースの構築費については,2022年度に教育プログラムと並行して実施する予定につき,その経費を2022年度に繰り越して使用する.
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