2022 Fiscal Year Research-status Report
科学の知見を生活の知恵に変えるオープンサイエンスのガイドライン開発
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21K02081
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Research Institution | Juntendo University |
Principal Investigator |
山田 泰行 順天堂大学, スポーツ健康科学部, 准教授 (80531293)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
水野 基樹 順天堂大学, スポーツ健康科学部, 教授 (20360117)
森島 美佳 金沢大学, 学校教育系, 准教授 (50369518)
榎原 毅 産業医科大学, 産業生態科学研究所, 教授 (50405156)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 科学コミュニケーション / オープンサイエンス / レイサマリー / インフォグラフィックス / ビデオショート / システマティックレビュー |
Outline of Annual Research Achievements |
2022年度は、オープンサイエンスの研究動向の把握(研究1)を完了し、魅力的な科学コンテンツの共通点を明らかにするためのシステマティックレビューで使用するレイサマリーのテキストデータ、インフォグラフィックスの画像データ、ビデオショートの動画データの収集を行った(研究2~4)。科学コンテンツの評価項目を検討するため、専門家だけでなく非専門家を交えたワークショップを行い、それぞれの科学コンテンツの評価項目のさらなる検討を行った。 最も研究を進めることができたのは、インフォグラフィックスのシステマティックレビュー(研究3)である。2016年よりBritish Journal of Sports Medicine (BJSM)に「Infographic」の投稿区分が開設されていたことで、論文データベース(PubMed)からまとまった数のインフォグラフィクスを収集し(2016-2022, n=152)、評価項目に従ってデータ化することができた。同時に、当初は災害(とりわけCOVID-19)の科学情報に着目していたが、インフォグラフィックスの公開においてはスポーツ医科学分野が先進的であることを確認することができた。 研究3の進行は、ビデオショートの共通点を検証するシステマティックレビュー(研究4)にも恩恵をもたらした。評価項目を検討する中で、インフォグラフィックスとビデオショートの評価項目が類似していることに気づいたからである。例えば、先行研究が示すインフォグラフィックス作成のガイドライン「GRAPHIC(Get to know your audience, Restrict color, Align elements, Prioritise parts, Highlight the heading, Invest in imagery, Choose charts carefully)」はビデオショートの作成においても有用であることを確認した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
レイサマリーのシステマティックレビュー(研究2)については、言語の壁により研究が停滞した。先行のレイサマリーは英文で記載されており、英語を母国語としない日本人が評価項目を検討することが難しかったからである。2023年度は英文のレイサマリーを和文に変換してから研究を進める必要がある。さらに、インフォグラフィックス(研究3)とビデオショート(研究4)のシステマティックレビューにおいても、色彩やコントラストのデータ化に至らなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
2023年の研究は近年急速に普及したOpen AIを活用しながら進めていく予定である。例えば、レイサマリーのシステマティックレビュー(研究2)ではOpen AIを使用して英文のレイサマリーを和文に変換することで研究を進めることができる。さらに、Open AIを活用することでインフォグラフィックス(研究3)とビデオショート(研究4)の色彩やコントラストのデータ化を効率化することが可能となる。 さらに、本研究は専門家による科学コンテンツの評価のみを予定していたが、2022年のワークショップを通して、非専門家の視点こそ重要であることに気づかされた。そこで、2023年は研究計画を一部変更し、非専門家の視点から魅力的な科学コンテンツの共通点を抽出するための研究(研究5)を新たに実施する予定である。
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Causes of Carryover |
パソコンの購入を見送ったことや、専門家によるミーティングをオンラインで行ったこと、学会発表を実施できる段階まで研究を進めることができず研究成果の公表に伴う予算を執行しなかったことが、次年度使用額が生じた主な理由である。 次年度に使用する主な研究費の細目は次の通りである:①システマティックレビューのためのデータ入力とデータクリーニングの謝礼、②オープンサイエンスのコンテンツ制作に伴う専門企業への業務委託費、③オープンサイエンスのコンテンツを制作する専門家に行うインタビューの謝礼、④データ収集・入力・分析を行うPC及び周辺機器、統計解析ソフトをはじめとする物品購入費、⑤共同研究者との打合せ(対面)と研究成果発表のための旅費および学会参加費、⑥魅力的な科学コンテンツの共通点を検討する非専門家への謝礼。
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