2022 Fiscal Year Research-status Report
アレルギー様食中毒の予防を目的とした非加熱調理の最適化の検討
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21K02094
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Research Institution | Ochanomizu University |
Principal Investigator |
新田 陽子 お茶の水女子大学, 基幹研究院, 准教授 (70403318)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | ヒスタミン |
Outline of Annual Research Achievements |
毎年発生しているアレルギー様食中毒は、ヒスタミンの多量摂取が原因となっており、加熱による対策ができない事が課題となっている。そこで新たな対策として、すでに蓄積した食品中のヒスタミンを無毒な形に分解し除去する方法を検討した。ヒスタミンの分解には植物由来のヒスタミン分解酵素を利用し、植物のペーストまたは植物から抽出した酵素を食品に塗布する処理の効果を調べた。 豆苗のペーストから得た抽出液により、水溶液中のヒスタミンを分解することが確認できた。しかし、25℃保存によってヒスタミンが蓄積したサバの切り身をペーストまたは上清に浸漬すると、ヒスタミン量はヒスタミン食中毒を防ぐ10 mg/一食当たり以下にならず、ペーストまたは上清の塗布では十分な効果が得られなかった。DAOの効果を高めるために精製したところ、硫安分画による精製では50, 60 %飽和の画分で高い活性を示した。続くイオン交換クロマトグラフィーでは酵素活性を7.4倍に高めることができた。副生成物の生成量を確認したところ、過酸化水素は殆ど検出されず、アンモニア、アルデヒド生成量はヒスタミン減少量の1%未満、8.5%程度に留まっていた。副生成物の生成量はヒスタミンの減少量と化学量論的に等しくなることから、粗酵素液には副生成物を別の形にする成分が含まれていることが示唆された。試験した食品のうち、ナスは約30 ppm、ナンプラー、たまり醤油は約100 ppmのヒスタミンが検出され、粗酵素液を適用することでヒスタミン量が減少することが確認された。以上から、豆苗から部分精製したDAOを実際の食品に適用することで、ヒスタミン食中毒を防ぐことができることが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
豆苗の抽出物の精製は途中段階であるが、その粗精製中の酵素反応でヒスタミンを減らせること、副生成物の過酸化水素やアンモニアの生成を抑制できていると考えられるため。
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Strategy for Future Research Activity |
豆苗抽出物のさらなる精製を行うことと、実際の食品への適用をさらに進める。
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Causes of Carryover |
実験に使用する消耗品を安く購入できたため残予算が生じたが、次年度の配分額が想定よりも少なくなったため、次年度の実験費用に充てる。
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Research Products
(2 results)