2021 Fiscal Year Research-status Report
将軍と周縁の人物たちの服飾表象からみる室町武家服飾史の再構築
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21K02095
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Research Institution | Gunma University of Health and Welfare |
Principal Investigator |
山岸 裕美子 群馬医療福祉大学, 社会福祉学部, 教授 (60291861)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 直垂 / 単物 / 上下 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、「公武関係」「服飾の表象性」の二点を踏まえながら室町時代の武家服飾史を再検討することである。そのために、①室町殿の「装い」行動の背景にある企図を解明しつつ当時の服飾文化を考察するとともに、②当時用いられていた服飾そのものについても検討を加える。 研究開始の令和3(2021)年度においては主に①を実施する予定であったが、新型コロナウイルス感染拡大の影響により行動が制限されたため(図書館の閉館もしくは開館時間・滞在時間の大幅な短縮等)、それが叶わなかった。そのため、東京大学史料編纂所古記録データベースを活用し、まず②の武家が独自に用いた衣服の機縁を探るべく整理・検討を始めた。 また、「服飾の表象性」についても理論を強固にするために、ロラン・バルトをはじめとする「記号論」の繙読も行った。 ②の実施内容は以下の通りである。従来、室町時代に出現した武家服飾として、「大紋(だいもん)」と「素襖(すおう)」が掲げられてきた。しかし応仁の乱以降成立した武家故実書には頻出するものの、それ以前については全く不明である。そのため、これらの機縁を探るために、「直垂(ひたたれ)」「単物(ひとえもの)」「上下(かみしも)」について「装い」の諸相を示す記載事項の整理を行った。東京大学史料編纂所古記録データベースを用いて大日本古記録(『薩戒記』『後深心院関白記』『後愚昧記』『建内記』など)の分類・検討を実施したところ、大きな所産を得ることはないものの「装い」の法則性を見いだすための第一歩を踏み出すことはできたと考えている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
COVID-19(新型コロナウイルス感染拡大防止)の影響により、県立図書館における大日本史料をはじめとする史料や辞典・事典類の閲覧ができず、さらに勤務校の図書館も開館時間短縮のため行動に大きな制約がかかった。対策として、県内図書館相互貸借のシステムを用いて少しずつ史料を取り寄せながらかろうじて研究を維持したが、やはり大幅に遅れていることは否めない。
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Strategy for Future Research Activity |
研究期間2年目に入る令和4(2022)年度は、武家服飾の機縁の解明(②)のみではなく①(室町殿の行動背景にある企図を解明しつつ当時の服飾文化を考察)に進まなければならない。 そのため、広汎にわたる視野を持ちつつも範囲をある程度小規模に区分しながら考察を行い、最後にそれらを統合する方法に切り替えて取り組む計画である。
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Causes of Carryover |
コロナ禍下に置かれていたため、資料収集のための旅費の執行ができなかったことに起因している。今後も図書館・博物館での調査が不可能となった場合には、旅費を史料・絵画資料の購入および史(資)料複写のための費用に充てることも考えたい。
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Research Products
(1 results)