2021 Fiscal Year Research-status Report
Effects of raw material combination ratios and maturing period on the antioxidant capacity of soybean paste.
Project/Area Number |
21K02096
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Research Institution | Jissen Women's University |
Principal Investigator |
白尾 美佳 実践女子大学, 生活科学部, 教授 (00352708)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 味噌 / 熟成期間 / 活性酸素消去活性 |
Outline of Annual Research Achievements |
近年、味噌の栄養学的利点の一つとして、味噌に備わる抗酸化能が注目されている。味噌の抗酸化能は様々な要因により決定されることが考えられるが、本研究では、味噌の抗酸化能が、大豆と麹の配合割合または熟成期間(反応時間)にどのようにかかわっているか明らかにすることを目的とした。2021年度は、糖-アミノ酸反応モデル系、味噌の活性酸素消去活性の測定系の構築ならびに、市販味噌での抗酸化能の測定を行った。さらに、熟成期間における影響を検討するための味噌の製造を行った。 研究方法は、糖-アミノ酸反応モデル系では、糖類としてグルコース、アミノ酸としてグリシンを用いて、反応溶液(酢酸ならびに炭酸水素ナトリウム)中で、90℃、7時間反応させてメラノイジンの生成条件の検討を行った。市販味噌として、米味噌、麦味噌、大豆味噌などを用いて、これらの抗酸化能の測定を行った。抗酸化能は、電子スピン共鳴装置(JES-FR30EX,日本電子(株))を用いてスーパーオキサイドアニオンラジカル、ヒドロキシラジカルを測定した。さらに、メラノイジンの分取系の構築のために高速向流クロマトグラフ(Easy-PREPccc,クツワ産業(株))を用いて検討した。使用溶媒は、n-ブタノール、エタノール、飽和硫酸アンモニウム、水の二相溶媒系4種類を用いた。 研究結果は、糖-アミノ酸反応モデル系では、アルカリ溶液においてメラノイジンの生成速度が速かった。活性酸素消去能の測定においては、有意な差はみられなかった。市販味噌の測定においては、大豆味噌において消去活性が高かった。特に、ヒドロキシラジカル消去活性が他の味噌に比べて高かった。高速向流クロマトグラフの測定においては、分離分取が可能になり、数種類の物質の生成が認められた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究課題の進捗状況については、おおむね順調に進展している。2021年度における当初の目的は、糖-アミノ酸反応モデル系、市販味噌における活性酸素消去活性における測定ならびに、高速向流クロマトグラフを用いたメラノイジンの分析方法の確立である。使用溶媒は、n-ブタノール、エタノール、飽和硫酸アンモニウム、水の二相溶媒系4種類を用いた。それぞれの研究については順調に進展した。結果については、当初の仮説と異なる点がみられた。その第1に、糖-アミノ酸反応モデル系においては、メラノイジンの生成の確認はみられたが、活性酸素消去活性についてはメラノイジン生成が多かったものと、低かったものとの差があまり見られなかったことである。このことから、メラノイジンの生成だけが、活性酸素消去について寄与しているのではないことが確認できた。第2に高速向流クロマトグラフを用いたメラノイジンの分析においては、当初は一つのピークに限定されると考えていた。しかし、分離については数種類のピークがみられた。この結果により、味噌のアミノ酸と糖との反応物質は1種類だけではないことが確認できた。
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Strategy for Future Research Activity |
今後の研究は、2021年に製造した味噌について、数か月ごとの熟成期間を考慮して、活性酸素消去活性について測定を行う。また、2021年度と異なる配合にて新たな味噌の製造を行い、測定をする。メラノイジンの分析については、高速向流クロマトグラフにおいて2021年度に実施した分離、分取方法とは異なる条件にて検討する。最終的には、味噌の熟成度ならびに生成したメラノイジンにより、抗酸化性がどのように異なるかを明確にする。
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