2022 Fiscal Year Research-status Report
食品成分によるHDACの活性化および阻害で誘導される寿命延伸効果のメカニズム解明
Project/Area Number |
21K02100
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Research Institution | Yamanashi Gakuin University |
Principal Investigator |
名取 貴光 山梨学院大学, 健康栄養学部, 教授 (00528721)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | HDAC / リグナン / アントシアニジン / 寿命延長 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、食品成分により誘導される抗老化作用の現象がヒストン脱アセチル化酵素(HDAC)の活性化調節による遺伝子制御によることを検証する。線虫の寿命延伸に関わっているHDACには、阻害されて作用するHDACサブタイプと、増強されて作用するHDACサブタイプがあり、それぞれは異なる食品成分により調節され寿命延伸を導いていると考えられる。そこで、このHDACサブタイプをそれぞれ特定することを目的として、アントシアニジン(シアニジン、デルフィニジン、ペオニジン、ペチュニジン)、リグナン(シリンガレシノール、セコイソラリシレシノール、ピノレシノール、ラリシレシノール)のHDACクラスⅠ活性に対する影響について、蛍光ペプチドアッセイ法を用いて検討を行った。その結果、寿命延長効果の確認されているアントシアニジン類(デルフィニジン、ペオニジン、ペチュニジン)はHDAC1、HDAC2、HDAC3の3種全てにおいて阻害活性が認められた。一方、リグナン類(シリンガレシノール、セコイソラリシレシノール、ピノレシノール、ラリシレシノール)についてはHDAC3において活性増強が認められた。HDAC1およびHDAC2に対しては有意な差は認められなかった。以上より、アントシアニジン類はHDAC1、HDAC2、HDAC3の関与、リグナン類はHDAC3の関与の可能性が考えられる。今後は、HDACクラスⅠの関与を検討するためのリコンビナントタンパク質に関して、メーカーを変えて再度実験をするとともに、クラスⅠのHDAC1、HDAC2、HDAC3の各変異体(線虫)と、これらHDACのsiRNAノックダウンを行い、寿命延長に対する影響を検討する。その後、リアルタイムPCR等の遺伝子発現解析を行い、各HDACの関与するシグナル伝達系を検証する。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
クラスⅠHDACのサブタイプを決定するためのリコンビナントタンパク質の購入時の選定に時間を要したことと、実際に実験を行った際にリコンビナントの活性が低く、思うような実験系が組み立てられなかったため。
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Strategy for Future Research Activity |
HDACクラスⅠの関与を検討するためのリコンビナントタンパク質に関して、メーカーを変えて再度執権をするとともに、クラスⅠのHDAC1、HDAC2、HDAC3の各変異体(線虫)と、これらHDACのsiRNAノックダウンを行い、寿命延長に対する影響を検討する。その後、リアルタイムPCR等の遺伝子発現解析を行い、各HDACの関与するシグナル伝達系を検証する。
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Causes of Carryover |
他の実験やその他業務により、当該研究に費やす時間が大幅に減少したため。次年度はHDACクラスⅠの関与を検討するためのリコンビナントタンパク質に関して、メーカーを変えて再度執権をするとともに、クラスⅠのHDAC1、HDAC2、HDAC3の各変異体(線虫)と、これらHDACのsiRNAノックダウンを行い、寿命延長に対する影響を検討する。その後、リアルタイムPCR等の遺伝子発現解析を行い、各HDACの関与するシグナル伝達系を検証する。 また、シグナル解析等で用いるための顕微鏡光源の購入などを検討する。
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