2021 Fiscal Year Research-status Report
キシログルカンの分子構造とグルテンフリーパンへの新規活用法に関する研究
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21K02111
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Research Institution | Baika Women's University |
Principal Investigator |
伊藤 聖子 梅花女子大学, 食文化学部, 准教授 (70466506)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | グルテンフリー / キシログルカン / 米粉パン |
Outline of Annual Research Achievements |
グルテンフリー食品は、近年増加している小麦アレルギーやセリアック病およびグルテン過敏症患者のQOL向上のため、世界的なニーズが年々増加し、特に主食となるグルテンフリーパンは国内外の需要が高い。しかし、多くのグルテンフリー食材は、澱粉特性ならびにタンパク質組成が小麦粉と異なるため、パンのような発泡食品には欠かせない気泡の保持力と骨格の維持力がないため膨化が難しく、保存による物性変化が最大の課題である。そこで本研究では、キシログルカンの分子構造が影響するゲル化特性や低分子物質の包接機能に着目し、グルテンフリー米粉パンの保存性に及ぼすキシログルカンの影響を検討した。 2021年度は、分子構造の異なるキシログルカンの調製と、米粉パンの材料とキシログルカン混合時の物性について検討した。タマリンド種子由来のキシログルカンを基質とし、反応時間が異なるセルラーゼ処理と、側鎖分解酵素(ガラクトシダーゼおよびキシロしだーぜ)との併用処理を行い、分子構造が異なるキシログルカンを調製した。 各酵素処理したキシログルカンは、回転式粘度計による粘度測定を行い、基質に用いたキシログルカンとの特性比較を行った。また、粘度特性と分子量分布との関係についても検討し、酵素処理条件が異なる各キシログルカンの特性が異なることを確認した。さらに、調製したキシログルカンを米粉およびパン生地に添加し、回転式粘度計による粘度を測定するとともに、各パン生地にドライイーストを加えて混捏後、一定量をトールビーカーに充填し、38℃のインキュベーターで発酵試験を行った。発酵試験の結果から生地の体積増加率を求め、パン生地の膨化に対する各キシログルカンの影響について解析を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
分析機器(粘度計等)の不具合により、当初計画していた測定と解析に遅れが生じてしまった。また、次年度に米粉パンに対する影響を速やかに検討するため、パンの焼成条件の試験を先行して行ったことも影響し、やや進行が遅れている。
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Strategy for Future Research Activity |
2022年度は、各キシログルカン添加のグルテンフリー米粉パンを調製し、パンの硬化速度と官能評価による保存性を検討する。その際、2021年度で測定できなかった試料の粘度測定と分子量分布測定のデータを再検討し、添加するキシログルカン試料の選定を行う。パンの焼成条件は、2021年度で確立した方法で実施する。 調製したパンの解析は、比容積測定と、一定条件および所定期間保存したパンクラムを試料とし、クリープメーターを用いたテクスチャー解析を行う。また、7段階評点法による官能評価を行い、テクスチャー解析との相関関係を明らかにする。さらに、クラムの画像解析から単位面積あたりのガスセル数とガスセル面積を解析し、澱粉とキシログルカンの存在分布を考察する。
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Causes of Carryover |
分析機器の不具合により、測定できなかった試料があり、次年度以降の解析に使用する。
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