2021 Fiscal Year Research-status Report
ソバ粉加水生地の力学特性及び消化性に及ぼすソバデンプンの形状による糊化挙動の相違
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21K02114
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Research Institution | Tokyo Kasei University |
Principal Investigator |
小林 理恵 (粟津原) 東京家政大学, 家政学部, 准教授 (00342014)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
橋詰 奈々世 宇都宮短期大学, 食物栄養学科, 講師 (30737705)
友竹 浩之 飯田女子短期大学, 家政学科, 教授 (90300136)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | ソバ / 遊離デンプン / 凝結デンプン / 損傷デンプン / アミラーゼ |
Outline of Annual Research Achievements |
市場に流通し加工・調理に利用されるソバ粉には、遊離デンプンに比べて凝結状態のデンプンが多く存在し、そのサイズも製粉方法により異なる。その存在形状によりデンプンの糊化特性は異なり、ソバ製品としての力学特性及び消化性に影響すると考えられる。 本研究では、ソバ粉に存在する「遊離デンプン」と「凝結デンプン」の糊化挙動が異なることを明らかにし、これが加熱ソバ粉バッター(加水生地)の力学特性及び消化性に及ぼす影響を解明することにより,食感が重視されるソバ製品の品質改善を目指すとともに、期待される様々なソバの生理機能性のうち難消化性デンプン(RS)としての機能性をより有効活用できる加工条件設定のためのエビデンスを見出すことを目指している。 初年度である令和3年度においては、超微粒精密分級機を用いてソバの遊離デンプンと凝結デンプンを段階的にサイズごとに分級して、それぞれの粒子特性及び成分組成を明らかにする計画としていた。まず、粒度分布、損傷デンプン量をもとにテスト分級を行った結果、本実験の供試ソバ粉は比較的遊離デンプンの多い気流粉砕にて製粉し、分級試料の作成に用いることとした。 また、デンプン形状のSEM観察を行ったところ、ソバは他の穀物に比べて穴の開いたデンプン粒が多く観察された。これは発芽時のエネルギーを供給するためにデンプンが酵素分解される際に見られる現象である。この状態のデンプンは損傷デンプンとしてソバ生地の物性にも関わるため、ソバ粉の基本特性の評価のために、ソバ粉のアミラーゼ活性の評価は欠かせないと考え、複数の市販ソバ粉のアミラーゼ活性を網羅的に調べた。その結果、ソバ粉は他の主要穀物に比べてアミラーゼ活性が高く、生産国及び製粉の相違によりその活性が異なる可能性があり、ソバ製品の製造における生地物性の調節においては、アミラーゼの酵素活性の影響も関与することが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
研究過程において、デンプンの電子顕微鏡観察過程で、酵素作用によると推察される穴の開いたデンプンが容易に観察されたことから、計画を変更してソバ粉の酵素活性の測定を行った。この検証に時間を要したため、やや計画が遅れている状況となっている。
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Strategy for Future Research Activity |
令和4年度は、9月に開催される学会にて令和3年度までに得られた成果報告を行う。実験内容については、超微粒精密分級機を用いて気流粉砕したソバ粉を段階的に分級する。併せて、以降の解析に必要となる各分級ソバ粉の基礎データを収集する。確認項目は①粒度分布、②デンプン形状、③ デンプン損傷度(分級時の損傷が考えられるために再確認)、④ソバ粉の分散・安定性評価、⑤一般成分(糖質,タンパク質,脂質,無機質,食物繊維)⑥ポリフェノール量の測定を予定している。 また、サーモコントローラで温度制御されたチャンバー内部に各分級ソバ粉バッターを設置し、光学顕微鏡に接続したデジタルカメラにて,温度上昇に伴う遊離及び凝結ソバデンプンの膨潤・糊化の進行を動画観察する。さらに加熱に伴う各分級ソバ粉バッターの熱的、力学的特性を明らかにするために、それぞれ示差走査熱量測定及び動的粘弾性測定を実施する予定である。 令和5年度は、上記を明らかにしたうえで、各分級ソバの消化性の評価とソバ粉バッターの力学特性および消化性に寄与する要因解析に取り組む予定である。
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Causes of Carryover |
実験計画の変更に伴い、超微粉精密分級の委託回数が減ったことに加え、分散・安定性評価を行う機器の購入計画を変更したことに伴い物品費の支出額が減少した。令和4年度は、繰り越し分を分級委託費ならびにSEM観察に伴う出張旅費に充てるなど、遅延した実験の実施に使用する予定である。
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