2022 Fiscal Year Research-status Report
体型プライミングが認知症高齢者の食物摂取に及ぼす効果の実験的解明
Project/Area Number |
21K02115
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Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
木村 敦 日本大学, 危機管理学部, 教授 (90462530)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山口 浩平 東京医科歯科大学, 大学院医歯学総合研究科, 講師 (70822550)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 食行動 / 高齢者 / 認知症 / 食卓環境 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は, 食卓環境が認知症高齢者の食事摂取量や評価に及ぼす影響を実験心理学的に検討するものである. 令和4年度は前年度の進捗を踏まえ, 体型プライミングの視覚的提示の効果を分析した. その中で,摂取量に関しては体型プライミングの効果が仮説通りみられた一方で, 食事評価については体型のみならず食事関連性の高さが影響を及ぼしている可能性が見出された. このことを詳細に検討するために, 食事関連性の高さを操作した絵画(額装画)の食卓への提示が高齢者の食行動に及ぼす影響について実験的に検討を行った. この研究結果については現在データを整理して報告資料を作成中であり, 令和5年度中に学会大会にて速報する予定である. また, 前述の体型プライミングの視覚的提示の効果については当研究費申請時以降に国内外で多数の研究が報告されていることから, それら近年の関連研究についても調査した上で当研究の新規性を明確にし, 論文原稿としてにまとめた. 令和5年度中に食行動や高齢者支援に関する国際的学術雑誌に投稿する予定である. 本研究は認知症高齢者の食支援を目標として遂行するものであり, 学術研究を推進することに加え, それら研究成果の社会還元, とくに医療・介護現場への還元も重要であると考えている. そのため, 自治体等が主催する栄養管理講習会等での講演においても本研究成果をわかりやすく紹介する取組みを行った. 令和4年度は中野区保健所が主催する講習会にて講演を行った.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
年度当初の計画通り, 認知症高齢者を対象として実環境における実験的介入および食行動の測定を行うことができた. また, 前年度までの研究結果について論文を執筆し, 国際誌に投稿するに至った. さらに, 給食施設の管理者・管理栄養士・調理士を対象とした講習会講師も担当し, 昨年度に引き続き研究成果の社会還元活動も行えたことから, 計画通りに進展しているといえる.
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Strategy for Future Research Activity |
令和5年度は当研究プロジェクトの最終年度となることから, 令和4年度までに実施・取得した実験データの整理・分析を進めそれらの成果発表を中心に進めたい. また, 結果の解釈や今後の課題を明確にする中で追加の実験・調査が必要となった場合には速やかに実施する. 具体的な成果報告については, 令和4年度に実施した研究結果の一部を高齢者支援に関する学会大会で発表予定である (発表申込済). また, 前述の通り体型プライミングの視覚提示に関する効果をまとめた論文を国際誌に投稿中であり, 掲載に向けて適宜改稿する.
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Causes of Carryover |
研究成果について国際会議発表を計画していたものの, コロナ禍で渡航可能な期間内での海外出張が可能かどうかが不透明となり申込みを取りやめたことから, その経費を中心として次年度使用額が発生した. 令和5年度は学会大会での発表申込についてもすでに計画通り進めており, 滞りなく適切な使途にて予算執行を行える見込みである.
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