2022 Fiscal Year Research-status Report
酸味抑制・苦味抑制効果を持つ食品由来香気の特徴解明と利用法の提案
Project/Area Number |
21K02124
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Research Institution | National Agriculture and Food Research Organization |
Principal Investigator |
河合 崇行 国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構, 食品研究部門, 上級研究員 (50425550)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 酸味抑制 / 糖酸溶液 |
Outline of Annual Research Achievements |
ヒトの感性に基づいて、食品由来の香りによる甘味修飾、酸味修飾を調べた。甘さを呈する香りとして、1)バナナ果実香、2)マンゴー果実香、3)メロン果実香、4)桃果実香、5)イチゴ果実香、6)チョコレート香、7)カスタード香、8)メープルシロップ香を選択し、被験者のオルソネーザル認知閾値を調べた後、5%砂糖水、3%クエン酸水、10%砂糖+3%クエン酸水に閾値前後の香りを添加して、甘味・酸味の変化を計測した。5%砂糖水、3%クエン酸水、10%砂糖+3%クエン酸水が、1.1倍の濃度差を弁別できる範囲であることを確認している。 砂糖水にオルソネーザル認知閾値未満の濃さの香りを加えた場合、そのままでは香りを感じられないが、口に含むとすべての香りでレトロネーザル認知が可能であった。しかし、甘味修飾については、ほとんどわかなかった。一方、オルソネーザル認知閾値の10倍の濃さの香りを加えた場合、メロン香と桃香を除くすべての溶液で甘さの増強が認められた。 同じ濃さの香りをクエン酸水に加えたところ、桃香、チョコレート香、メープルシロップ香に酸味抑制効果が、メロン香に酸味増強効果が認められた。バナナ香では、酸味の立ち上がり部分が抑制されたが、総合評価的には抑制効果も増強効果も見られなかった。 糖酸比を100:3とした溶液に香りを加えた際の甘味と酸味の変化を調べたところ、砂糖水単独で調べた結果とクエン酸水単独で調べた結果を相加したような結果が得られた。ただ、甘味の増強効果の大きさは砂糖水単独よりも小さくなっていた。 香りを加える前の糖酸溶液では、酸により甘さが抑えられ、甘さにより酸が抑えられて相互作用しているように感じられたが、香りを加えることで、糖酸相互作用より、香りとそれぞれの味との作用の方が目立つ結果となっていた。香料添加で甘味を強めても、必ずしも酸味が抑えられる訳ではないことが示された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
ヒト対象の研究部分においては、次年度も、計画通り食品後期による苦味修飾について進められる。一方、動物実験施設の改修工事の影響を受け、動物実験による研究が遅れ気味である。
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Strategy for Future Research Activity |
酸味抑制については、人数を増やして実験を行い、エビデンスを強固なものにする。苦味抑制については、実験参加者への心理的負担をいかに軽減しながら計測するかに留意しながら研究を遂行する。
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Causes of Carryover |
動物実験施設の改修の影響を受け、動物実験の部分が次年度に持ち越すこととなったため。
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