2022 Fiscal Year Research-status Report
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21K02126
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Research Institution | Saitama University |
Principal Investigator |
重川 純子 埼玉大学, 教育学部, 教授 (80302503)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 長期家計 / 家計簿 / 生活設計 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、世帯の所得変動のタイプの分布を明らかにし、今後の生活設計教育の資料とするほか、所得保障政策の課題を検討することである。昨年度長期家計記録を資料に所得変動をとらえたが、今年度は、長期にわたる家計簿記帳者を多く含む戦後すぐから2021年まで記帳活動を行っていたグループの参加者に対し郵送により調査を行った(有効回収233)。記帳期間は40年を超える者が過半数を占める。回答者のうち、30,40歳代は1割弱と少なく、高年齢者が大部分を占めた。活動参加者は毎月一定書式の家計集計を事務局に提出し、事務局は年に1回、参加者の年齢別等の年間平均結果を報告している。活動参加者の大部分は女性であり、結婚を契機に記帳を始めた者が過半数を占め、家計管理を主婦役割と考えていた人が多かったと推察される。活動参加の契機として毎月の締切の存在を挙げる者が65%、仲間の存在を挙げる者が26%を占める。33%は相談・アドバイスを挙げた。家計簿記帳は個人的な行為であるが、活動グループの存在が継続を下支えしている。家計管理として予算を立てることについて、費目別、特別な支出の見積もりなどを理由に、3分の2の者が難しいと感じていたが、記帳を継続し、予算立てに過去の家計簿を用いており、調査時点で予算立てを難しいと感じる割合が2割程度に減少している。雇用者世帯が多く、高年齢者を多く含む調査対象者の中では収入予測を難しいと感じていた者は少ない。記帳は所得変動を抑制するものではないが、収支のバランスを確認し、支出内容を見直し、予算立てに活かすことで安心して支出を行うことが示された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
生活設計教育への示唆を得るため、当初より予定していたパネル調査の分析に加え、長期家計記帳者の調査を実施した。パネル調査の所得変動の分析が遅れていることから、進捗が遅れている。
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Strategy for Future Research Activity |
パネル調査データを用いた所得変動の分析を進め、今年度までの調査結果とあわせて生活設計教育の内容を検討する予定である。
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Causes of Carryover |
進捗がやや遅れていること、またコロナの影響で国際会議開催が延期になったことや研究補助のアルバイトの依頼が十分に行えなかったため、残額が生じた。次年度は国際会議での研究発表を行うこと、研究補助を依頼予定である。
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Research Products
(2 results)