2021 Fiscal Year Research-status Report
高齢者の食の多様性を確保するための人のつながりと地理的要因の検討~二国間比較研究
Project/Area Number |
21K02131
|
Research Institution | University of Niigata Prefecture |
Principal Investigator |
太田 亜里美 新潟県立大学, 人間生活学部, 准教授 (30567269)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
菖蒲川 由郷 新潟大学, 医歯学総合研究科, 特任教授 (30621198)
村山 伸子 新潟県立大学, 人間生活学部, 教授 (80219948)
|
Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
|
Keywords | フレイル / 国際保健 / 食の多様性 / アクセス / 社会経済状況 |
Outline of Annual Research Achievements |
日本とインドネシアにおける高齢者の食の多様性に関わる様々な個人・環境要因である『食へのアクセス』を把握し、両国の介護予防対策につ なげることが目的である。インドネシアの大学教授らとインドネシアの60歳以上の高齢者の食、生活習慣に関わる調査協力を依頼し、結果から 簡易に食評価のできる『インドネシア多様性評価スコア』の作成を行う。日本とインドネシアの高齢者の二国間比較により、お互いの国の『食 へのアクセス』の利点、問題点を客観的に評価することができ、各国の新たな食を通した介護予防対策ができると考える。本研究はインドネシアの60歳以上の高齢者300人をボゴール市の代表的な3地区から無作為抽出する予定である。将来的にインドネシアの主要な都市数か所で高齢者調査を行う予定であり、本研究の質問項目は日本や他のアジア諸国で行った質問項目(社会経済状況、生活習慣な ど、友人関係など)に加え、訪問による対面インタビュー、体重、身体測定、握力、血圧測定も検討している。食の評価がだれもが簡易にできるよう『インドネシア 高齢者食の多様性評価スコア』の作成を行う。日本においてはN市と2016年、2019年に郵送による高齢者大規模調査を行い5000人の追跡ができている。食の多様性に関わる質問も含まれて おり、2022年にも同対象者の追跡調査を行う予定である。日本の『食へのアクセス』の客観的な評価が行える事で、新たな視点から、高齢者の健康な食の確保につながる地域づくり政策を提案できると考える。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
21年度の渡航、調査を検討していたが、インドネシアのコロナの流行状況の悪化、死者数の増加から入国できない状況であった。オンラインでのIPB大学共同研究者らとの打ち合わせは定期的に行っている。 その中でインドネシアで糖尿病患者が多いが、検査等行われていないことから、身体測定、血圧測定に加え、血糖測定(自己血糖測定器使用)を検討している。そのほか、インタビュー形式のアンケートを実施予定であり、社会経済状況、諸国では国際連合食糧農業機関(FAO)が提案した「食事の多様性の評価ガイドライン」で挙げられ、かつIPB大学で研究実績のある2日間(平日・休日)の食事記録法(秤量法)を調査方法として検討している。同研究でも砂糖や塩の摂取量に対する考察はあるものの、血圧測定、血糖測定などの客観的指標との評価はされていない。またインドネシアではコロナ流行前よりも加工食品の利用が減っている可能性、地産地消、伝統食の見直しが増えている可能性があり、地域の野菜等の利用や、料理時間の変化についても、社会経済状況の変化とともにインタビューを行う予定である。 上記内容の検討のうえ、研究計画書、インタビュー用紙、同意書の作成を行い、インドネシア語に翻訳まで行った。現在、IPB大学でも内容を確認のうえ、IPB大学の倫理審査の申請の準備中である。同時に日本での倫理審査も申請のうえ、今年度調査実施予定である。
|
Strategy for Future Research Activity |
今年度の計画としては、年度はじめに日本の新潟大学、インドネシアのIPB大に倫理委 員会に倫理審査を申請のうえ、承認を得る予定である。本研究を実施するにあたりIPB大学の大学院生、学生らの協力も不可欠であることから、オンラインにて、事前の打ち合わせを数回行う。計画全体の流れの確認を行い、また対象者抽出、さらにPosyandu(保健施設)で調査を行う、あるいは自宅訪問が必要な対象者の確認を行う。その他、身長、体重、血圧測定の方法の確認、血糖測定に関しては、IPB大学の教員でもある医師らの同伴もお願いしており、特に血糖測定に関しては、手技、安全性、使用済み部品の廃棄場所などについても確認する。さらにコロナ感染対策等につき、個人、対象者のマスク着用、手指の消毒、施設の換気なども必要であり、全体の簡易マニュアルを作成のうえ、大学院生、大学生への指導をおこなう。調査は今年度渡航時に初回グループを実施予定であり、調査の実施が問題なくできることを確認のうえ、以降はIPB大学の主担当教授に調査継続をお願いする。本年度は調査の実施、データ入力、データクリーニング、一部分析を実施予定である。
|
Causes of Carryover |
当該助成金が生じた理由として、令和3年度インドネシアでの調査ができなかったことである。コロナウイルスの世界的流行があり、特にインドネシアは死亡人数も多く、日本からの渡航が禁止されている状況であった。インタビュー調査および血圧測定等の客観的指標、食事調査を本目的とするため、対面可能な時期を待つ予定であり、電話、オンライン等の日対面の調査への切り替えは現時点では行わない予定である。 翌年度分として請求した助成金と合わせた使用計画については、インドネシアでの糖尿病患者が多いことから、血圧測定に加え血糖自己測定器を使用した血糖測定を追加検査として行うこととなった。測定器および関連する消耗品のほか、現地医師に調査参加をお願いするための費用として使用する予定である。
|