2021 Fiscal Year Research-status Report
食素材としてのきのこの保存・加工にみられる機能性の解明
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21K02135
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Research Institution | Takasaki University of Health and Welfare |
Principal Investigator |
熊倉 慧 高崎健康福祉大学, 農学部, 准教授 (80516930)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | マンネンタケ / 糖質加水分解酵素 / 遺伝子 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、2つの大きな目的「①収穫後の保存及び加工におけるきのこの成分を網羅的に解析する」及び「②きのこの生活環及び機能性発現に関与する酵素を分子生物学的手法により解析する」に対してそれぞれ実施計画を立て、研究を遂行している。研究対象としては、マンネンタケ(Ganoderma lucidum)をはじめシイタケ(Lentinula edodes)やブナシメジ(Hypsizygus marmoreus)など栽培品種を用いて研究を実施している。 本年度は、目的②に関する研究を先行して実施した。マンネンタケ子実体において収穫後に存在が確認された酵素の遺伝子配列解析および生活環における詳細な発現解析を中心として研究を推進した。遺伝子配列については、RACE-PCR法を用いて、2つの糖質加水分解酵素の塩基配列情報を取得した。糖質加水分解酵素ファミリー47に属するα-1,2-マンノシダーゼに関しては、シグナルペプチド配列を含む予想開始コドンから終始コドンまでの配列情報の取得に成功した。一方、糖質加水分解酵素ファミリー152に属するソウマチン様タンパク質に関しては、予想開始コドンまたは終始コドンを含む部分配列を取得した。今後、ソウマチン様タンパク質については、未取得の部分配列を取得し、全長配列の解析を行う予定である。 複数の糖質加水分解酵素の生活環における発現解析に関しては、菌糸体から収穫後保存した子実体まで、傘部、柄部と分け、その発現について、リアルタイムPCR法を用いて解析した。それぞれの酵素に関して、その発現時期と部位が明らかとなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は、研究推進方策の中心であるマンネンタケ子実体において収穫後に存在が確認された酵素の遺伝子配列解析および生活環における詳細な発現解析を実施できたため、おおむね順調に進展しているとした。
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Strategy for Future Research Activity |
今後の研究も、2つの研究目的を基本として推進する。これまでに部分配列を取得したソウマチン様タンパク質については、未取得の部分配列を取得し、全長配列の解析を行う予定である。全長配列情報が得られた後はクローニングし、異種発現や無細胞系のタンパク質発現システムを利用し、タンパク質生成、機能解析を試みる予定である。 もう一つの目的である収穫後の保存及び加工におけるきのこ成分の網羅的解析を行う。保存に関しては収穫後のマンネンタケ子実体における成分分析を行う。加工における成分変化の解析は、シイタケをはじめとして、市販きのこを利用し、浅漬け処理、加工による成分分析を行う予定である。具体的にはアミノ酸や有機酸などの水溶性成分や脂質など脂溶性成分を液体クロマトグラフィー、ガスクロマトグラフィーを用いて分析し、特徴的な成分を明らかにする。きのこサンプルは、凍結乾燥後、粉砕、前処理を行い、分析用サンプルとする。各種きのこの漬物に関する研究は少なく、生活習慣病の予防などが期待されており、これらきのこ加工食品への期待は大きい。
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Causes of Carryover |
次年度使用額が生じた理由としては、物品購入にあたり、物品の価格を精査し、安価なものまたはキャンペーン中のものの購入に努めたためである。 今後の使用計画については、研究の推進方策に従い、物品費で当該物品を購入し、使用、研究の推進に努める。また、旅費・その他に関しては、成果発表、資料収集、研究打ち合わせや受託解析等に使用し、本研究成果を発信することに努める。
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