2023 Fiscal Year Annual Research Report
Investigation of appetite-promoting effect by olfactory stimulation of odor components generated by heat treatment in foods
Project/Area Number |
21K02137
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Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
大畑 素子 日本大学, 生物資源科学部, 准教授 (60453510)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | フラネオール / 嗅覚刺激 / 自発運動 / 加熱香気 |
Outline of Annual Research Achievements |
先行研究では、ラットへのフラネオールの嗅覚刺激が摂食量の有意な増加を引き起こす一方で、対照群と比較して体重は変化しないことが報告されている。 令和4年度までの研究では、フラネオールの嗅覚刺激がマウスの自発運動量の顕著な増加を誘発し、これが体重の維持に関係する可能性があることを報告した。 令和5年度の研究では、フラネオール嗅覚刺激によるマウスの自発運動量増加のメカニズムの一端を明らかにするために、中枢および抹消における遺伝子発現を解析した。8週齢のC57BL/6jオスマウスを用い、蒸留水60分間曝露+自発運動無しの群(DW-nonEx)、蒸留水60分間暴露+自発運動有りの群(DW-Ex)、フラネオール15分間曝露後続けて蒸留水60分間曝露+自発運動有りの群(F15-Ex)、およびフラネオール60分間曝露+自発運動有りの群(F60-Ex)の4群を用意した。13週齢まで自発運動量を測定し、各群のマウスより脳および胃を採取した。視床下部の遺伝子発現量の違いを定量PCRで測定したところ、自発運動をすることによってDW-Ex群でストレス関連遺伝子であるコルチコトロピン放出ホルモン(Crh)が上昇したが、15分間のフラネオールの曝露によってそれは減少することが判明した。一方、自発運動をすることによって減少したオレキシン系遺伝子(Orx, Orx1r, Orx2r)およびオキシトシン受容体(Oxtr)は、15分間のフラネオールの曝露で発現量が回復した。60分間のフラネオール曝露では中枢における遺伝子発現の変化は限定的であったが、胃におけるグレリン(Ghr)の発現量が顕著に高いことが判明した。 以上より、これら一連の神経ペプチドの変化が自発運動量増加の神経生理学的な分子基盤であることが示唆された。
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