2023 Fiscal Year Annual Research Report
野生鹿肉の乳酸発酵による加工食品としての保存性向上と生理活性発現
Project/Area Number |
21K02138
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Research Institution | Azabu University |
Principal Investigator |
竹田 志郎 麻布大学, 獣医学部, 准教授 (40710223)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 鹿肉 / 乳酸菌 / 発酵肉製品 / 生理活性 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では野生鹿肉を題材として、乳酸発酵が野生動物肉(ジビエ)の微生物・理化学的特性および生理活性に及ぼす影響について、畜肉を用いた発酵食肉製品との比較解析を行い、保存性に優れた鹿肉加工製品の作出およびその生理活性機能に寄与する成分の解明を行うことを目的とした。 令和4年度までに野生鹿肉における発酵性および生理活性発現について豚肉との比較検討のうえ、有用なスターター菌株としてLatilactobacillus sakei No.23株(以下、No.23株と記す)を認め、No.23株単独で発酵鹿肉製品を作製することができた。令和5年度はNo.23株の補助スターターとしての可能性について調査した。 結果、No.23株は食肉用メインスターター(Pediococcus sp.)による乳酸発酵を阻害することなく鹿肉の乳酸発酵を促進させた。No.23株とメインスターターとの併用最終製品のpHはメインスターターで調製した製品よりも低値であり、水分活性は同等であった。また、いずれの製品でも食品の衛生指標として扱われる大腸菌群は検出されなかった。生理活性については、No.23株とメインスターターを併用した製品では抗酸化活性の指標であるDPPHラジカル消去活性が他の製品に比べて著しく高い値を示した。味覚別の遊離アミノ酸含量を評価したところ、No.23株とメインスターターを併用した製品ではうま味、甘味、苦味系のアミノ酸含有量が他の製品に比べて高い値を示し、味覚が多様化した可能性が考えられた。従って、No.23株は発酵鹿肉製品の補助スターターとして機能し、製品の生理活性および嗜好性向上に貢献したと考えられた。 以上、本研究を通して野生鹿肉の食用加工として乳酸菌を利用した乳酸発酵製品の有用性を示すことができた。
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