2023 Fiscal Year Research-status Report
Effect of processed food for egg allergy -relation between the solubility of allergen and the symptom provocation-
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21K02141
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Research Institution | Nagoya University of Arts and Sciences |
Principal Investigator |
和泉 秀彦 名古屋学芸大学, 管理栄養学部, 教授 (80351211)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 鶏卵 / アレルゲン / 溶解性 |
Outline of Annual Research Achievements |
オボムコイド(OM)を鶏卵白から分離精製した(精製OM)。精製OMを加熱処理(沸騰水中60分)することで加熱OMを作製した。小麦粉に対して精製OM を2:1(w/w)の割合で混捏・焼成することで焼成OMを作製した。また、焼成していないものを未焼成試料とした。これら作製したOMの立体構造はモノクローナル抗体を用いたELISAで確認し、溶解性は異なる抽出溶液を用いて解析した。その後、これらの試料を使用してペプシン・トリプシン・キモトリプシンによる単一酵素での消化処理を経時的(0, 10, 30, 60, 120分)に行った。また、胃から小腸までの連続した消化管モデルでの消化処理も行った。消化処理後、塩溶性および不溶性タンパク質を抽出し、イムノブロットにより消化性を解析した。また、Lowry法にて試料の消化処理後の塩溶性タンパク質濃度を定量した。 トリプシン処理の結果、いずれの試料においてもOMは消化されなかった。ペプシン・キモトリプシン処理の結果、焼成OM以外は経時的に消化されたが、タンパク質量に変化はみられなかった。一方、焼成OMは経時的に消化されタンパク質量が経時的に増加していたが、検出された分解断片が異なり、低分子領域においてOMが検出されなかった。また、消化後も不溶性画分に未分解のOMが検出され、一部のOMが不溶化したまま残存した。消化管モデルの結果、焼成OMは消化後タンパク質量が増加していたが、低分子領域のOMは検出されなかった。また、一連の消化後も不溶性画分から未分解のOMが検出された。以上のことから、焼成OMは消化後も一部不溶性画分に残存すること、消化されても抗体に認識されにくい断片で可溶化することが明らかとなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
加熱、焼成により、性状の異なるオボムコイド(未変性、変性、凝集)を作製することができ、それぞれの消化性がin vitroの系で異なることを明らかにできた。
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Strategy for Future Research Activity |
オボムコイド(OM)アレルギーモデルマウスを用いて、性状の異なるOMの消化動態および吸収性の解析を行い、消化・吸収性とアレルギー症状誘発能との関連を明らかにする。 6週齢の雌BALB/cマウスを用いて、OMをAlumとともに3回腹腔内投与することでアレルギーを惹起する。OMアレルギーモデルマウスは、OM特異的IgE抗体価の上昇を確認し、PBSを経口投与するPBS群、性状の異なるOM(20mg/匹)を経口投与する精製OM群、加熱OM群、焼成OM群に分ける。また、PBSとAlumを腹腔内投与した非感作群も実験に用いる。それぞれのOM試料を経口投与し、投与後120分まで経時的(0, 30, 60, 90, 120分)に直腸温および症状スコアを評価する。また、採血および採糞も行う。投与後60・120分において腸管内容物を採取し、腸管内容物および回収した糞は塩溶性および不溶性タンパク質を抽出後、イムノブロットによりOMの消化動態を解析する。また、採血により得られた血清は、サンドイッチELISAにより血中OMを定量する。
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Causes of Carryover |
実験は概ね予定通り進行し、予算額はほぼ全額使用できたが、動物を用いて実験が送れていいるためその分の予算を繰り越すこととなった。
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Research Products
(1 results)