2022 Fiscal Year Research-status Report
未凍結および微凍結での熟成処理が食肉の品質・呈味成分・調理特性に及ぼす影響
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21K02142
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Research Institution | Kansai University |
Principal Investigator |
細見 亮太 関西大学, 化学生命工学部, 准教授 (20620090)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 熟成 / 未凍結 / 微凍結 / スーパーチリング / 食肉 |
Outline of Annual Research Achievements |
食肉の呈味・風味やテクスチャーを向上する目的で熟成は広く用いられている。一般に食肉の熟成温度はチルド(0℃~+5℃)が中心であるが、チルドよりも低温のスーパーチリング(0℃~-5℃, SC)での熟成が近年注目を集めている。SC帯は氷結点を境に食肉中の水分の物理的状態が異なり、0℃~凍結点では未凍結、凍結点~-5℃では部分的に氷結晶の生成が見られる。そのため、SC帯を用いた熟成といっても、凍結点を境にして、食肉熟成中の成分変化に与える影響には大きな違いがある。昨年度、豚ロース肉を-1℃(未凍結)、-4℃(微凍結)で熟成処理を行い品質に及ぼす影響を評価したところ、微凍結熟成は未凍結熟成と比べドリップロスが有意に高かった。本年度は、未凍結および微凍結熟成中の食肉の嗜好性に関わる遊離アミノ酸(FAA)とイノシン酸(IMP)、および品質に関わる一般生菌数の変化に及ぼす影響を評価した。FAAはトリベンゼンスルホン酸ナトリウム法、イノシン酸は順相カラムを用いた高速液体クロマトグラフィー法、一般生菌数はコロニーカウント法を用いた。一般生菌数において、微凍結熟成と未凍結熟成の間には大きな違いは見られなかった。FAAにおいて、微凍結熟成は未凍結熟成と比べ、FAA濃度の増加を大きく抑制した。一方、うま味に関わるIMPにおいて、未凍結熟成は微凍結熟成と比べ、IMP濃度の減少が見られた。本年度実施したFAAおよびIMP濃度の変化は、水分の物理的状態の違いによる影響は小さく、熟成温度の違いが影響している可能性が示された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2022年度の実施予定であった未凍結および微凍結熟成過程中の食肉の嗜好性に関わる遊離アミノ酸とイノシン酸、および品質に関わる一般生菌数の変化について評価を行った。豚肉の未凍結熟成は微凍結熟成と比べ、遊離アミノ酸は増加するが、イノシン酸は分解する結果を得た。このように2022年度実施予定であった研究項目について順調にデータが得られていることから、「概ね順調に進展している」と判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
未凍結および微凍結熟成が食肉の品質・呈味成分・食感・調理特性に及ぼす影響を明らかにするため、2023年度は以下の点について評価を進める。 ・食肉中の水分の凍結が細胞の損傷に及ぼす影響 ・遊離アミノ酸の増加に関与するプロテアーゼ活性の評価
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