2023 Fiscal Year Annual Research Report
プレバイオティクスによる大腸ALPを含む腸内環境調節作用に及ぼす脂質栄養の影響
Project/Area Number |
21K02156
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Research Institution | Fuji Women's University |
Principal Investigator |
岡崎 由佳子 藤女子大学, 人間生活学部, 教授 (80433415)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 大腸ALP / プレバイオティクス / 大腸内環境 / 脂質栄養 / ラット |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では,プレバイオティクスによる大腸ALP活性誘導をはじめとする腸内環境調節作用に,脂質栄養が与える影響を検討し,これらの関連性に新規知見を見出すことを目的とした。最終年度では以下の研究を実施した。 1.食餌脂肪として,飽和脂肪酸のうち中鎖脂肪酸を多く含むヤシ油,ω-3系多価不飽和脂肪酸のEPAやDHAの多い魚油およびω-6系多価不飽和脂肪酸の多いブドウ種子油を用い,フルクトオリゴ糖(FOS)摂取ラットの大腸ALP誘導作用への影響を比較検討した。その結果,ヤシ油食と魚油食では,FOS摂取による大腸ALP活性,ALP遺伝子(Alpi-1)発現および糞中Mucin含量の有意な増加が認められたが,ブドウ種子油食では同様な影響が示されなかった。 2.飽和脂肪酸の多いラードにω-6系多価不飽和脂肪酸の多いブドウ種子油を加えた飼料を用い,FOS摂取ラットの大腸ALPへの影響を比較検討した。その結果,FOS摂取ラットの大腸ALP活性は,ラード食群と比較してラードとブドウ種子油4:1配合食群で低下傾向を示し,1:1配合食群では有意に低下した。 3.前年度までの研究で,プレバイオティクス摂取による大腸内環境への影響は,20%の脂肪添加量で顕著であることが示された。そこで,20%脂肪食の条件下で水溶性食物繊維ペクチンの添加レベルを設け,大腸ALPへの影響を検討した。その結果,ペクチンは比較的現実的な添加レベル(1%)で大腸ALPおよびAlpi-1発現を誘導することが認められた。 期間全体の研究を通して,プレバイオティクスによる大腸ALP誘導をはじめとする腸内環境調節作用は,摂取脂肪として飽和脂肪酸やω-3系多価不飽和脂肪酸の多い油脂を用いた場合に高まることが示された。また,プレバイオティクスの大腸内での機能が最大限に発揮されるには,通常より多くの脂肪量を要する可能性が新たに見出された。
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