健康食品に含まれるアレルギー原因食物由来タンパク成分の一斉分析法の開発

2021 Fiscal Year Research-status Report

• Project/Area Number: 21K02163
• Research Institution: Osaka Institute of Public Health
• Principal Investigator: 清田 恭平 地方独立行政法人 大阪健康安全基盤研究所, 衛生化学部, 主任研究員 (10516743)
• Project Period (FY): 2021-04-01 – 2025-03-31
• Keywords: アレルギー原因食物 / 鶏卵タンパク / 鶏卵アレルゲン / いわゆる健康食品 / アレルゲン分析法 / 質量分析計

Outline of Annual Research Achievements

いわゆる健康食品や保健機能食品の一部には、アレルギー原因食物に由来する機能性タンパクが使用されている。これらの食品においては、特に、機能性タンパク含有量やアレルゲン摂取リスクの情報について高い信頼性が求められる。そのため、これらの情報提供に資する正確性と効率性を備えた分析法の開発が必要とされていた。
本年度は、鶏卵タンパクについて着目し、その複数種類に対して同時定量が可能な一斉分析法を構築することを目的として研究を実施した。まず、市販品の入手が困難な鶏卵タンパク標準品の作製に取り組み、大腸菌発現系を利用して2種類の鶏卵タンパクを作製した。次いで、タンパク消化物（ペプチド）の質量を分析対象とし、液体クロマトグラフ-タンデム型質量分析計（LC-MS/MS）を利用した一斉定量法の構築のための条件検討を行った。タンパク消化後のペプチドおよびMRM測定条件について、in silicoでリストを作成し、検出強度や特異性を基に、タンパクごとに最適なトランジションを選定した。さらに、選定したペプチドの合成品を使用して測定条件を最適化した。構築した分析法では、78-5000 ng/mLの範囲で検量線の作成が可能であった。また、研究対象の食品は、加工により変性した鶏卵タンパクを含むことが考えられる。分析対象のタンパクが変性して水に対して不溶化した場合は、測定値に影響を及ぼす可能性がある。そのため、タンパク抽出液に還元剤等の試薬を添加して変性タンパクの可溶化について予備検討を実施した。

Current Status of Research Progress

3: Progress in research has been slightly delayed.

Reason

1年目の計画のうち、予定通りにタンパク標準品を作製することができたが、分析対象が複数種類であったため、機器分析の条件検討に長期間を要したことが理由として挙げられる。

Strategy for Future Research Activity

今後、タンパク抽出条件の検討を進め、定量法としての妥当性確認を実施して、一斉分析法の開発を継続する予定である。

Causes of Carryover

研究の進捗を考慮し、予定していた物品の一部の購入を翌年度に延期したため。